南京大虐殺の生存者が日本の著作者の名誉権侵害を訴えた裁判で南京の裁判所が原告勝訴の判決を言い渡しました。
中国の南京大虐殺の生存者夏淑琴さんが日本の著作者東中野修道、松村俊夫を名誉権侵害で訴えていた裁判で、南京市玄武区法院は同日、原告勝訴の一審判決を言い渡しました。中国の裁判所が初めて受理し、判決を出した南京大虐殺事件にかかわる渉外民事事件となりました。
玄武区法院の判決は、▽被告東中野修道と松村俊夫およびその著作を出版した展転社は、原告夏淑琴の名誉権を侵害した図書の出版を直ちに停止するとともに、すでに出版した書籍を回収、焼却する▽中日両国の主要メディアの目立つ位置に謝罪声明を掲載し、かつ原告の精神的損害に対する慰謝料160万元(1元=約14円)を支払う??よう命じています。
さらに、被告は判決に不服である場合、30日以内に南京市中級人民法院に上訴することができると述べています。
被告の東中野修道と松村俊夫および展転社は出廷していません。
77歳の夏さんは、「裁判所は公正な判決を下した」と満足の意を表しています。
1998年、亜細亜大学教授東中野修道と自由史観会会員の松村俊夫は、展転社からそれぞれ「南京大虐殺の徹底検証」と「南京大虐殺の大疑問」を出版しました。
2冊の本で、夏淑琴さんら南京大虐殺の生存者が「政府によって仕立てられた」、「偽証人」と描かれています。著作者はさらに、夏さんは「故意にねつ造し、世間を欺いた」、「その証言は誰かが想像したものだ」と指摘しました。
2000年、夏さんは南京市玄武区法院に松村俊夫、東中野修道および株式会社展転社を名誉権侵害で訴え、侵害行為の即時停止、両国の主要紙上での謝罪、160万元の支払いを求めました。
2004年9月15日と16日、玄武区法院は証人尋問を行い、同年11月23日と25日に公判を開いたが被告の松村、東中野、展転社はいずれも応訴しませんでした。
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