アラブ・イスラム諸国および中国、ロシア、南アフリカ、キューバなどの加盟国の要請に応じ、国連人権理事会は11日ジュネーブの欧州本部で特別会議を開き、イスラエルの進攻を受けたレバノンでの人権侵害状況を調査する決議を採択しました。
会合でルイーズ・アルブール国連人権高等弁務官は「深刻化しているレバノン情勢に、国連人権理事会は断固対応しなければならない。当面の情勢を受け、攻撃の応酬による人権侵害状況を緊急に調査する必要がある。イスラエル軍とヒズボラの双方とも、交戦者の義務に関する戦時国際法と国際人道法の規定を無視している。人権侵害に関係する責任者、特に軍事指揮官に対する戦争犯罪或いは人類への反逆罪での訴追が可能だ」と述べました。
会合でパキスタン、チュニジア、アルジェリア三国はそれぞれアラブ諸国会議機構、アラブ連盟、アフリカ連合を代表し、「レバノンに対するイスラエル軍の大規模な空爆で数千人が死傷し、百万人にのぼる住民が家屋を失い、民生用のインフラ施設が大量に破壊され、レバノン国民の生存権が著しく侵害された」と非難した上で、イスラエルの大規模な人権侵害行為を非難し、国連による人権侵害行為への調査を決議するよう要請しました。
また、サウジアラビア、ブラジル、アルゼンチン、インドネシア、マレーシア、モロッコ、エジプト、セネガル、ロシアなどの加盟国もイスラエルの人権侵害行為を非難した上で、「レバノンの民間人と民生用施設への攻撃を停止し、領海・領空封鎖を解除し、国際法と国際人道法を遵守し、人道支援の実施を保障しなければならない」とイスラエルに要求しました。
この後、レバノンの代表がイスラエル軍の暴力行為を暴露し、「イスラエルはレバノンの壊滅を目的としている」と指摘しました。
一方、イスラエルの代表は「国連人権理事会の特別会合はレバノンのみに関心を寄せている。ヒズボラの行為は民族を絶滅させようというテロ行為だ」と反論しました。
中国の沙祖康ジュネーブ駐在国連代表は「人権理事会がレバノンでの大規模な人権侵害行為を審議・対処しなければ、理事会の名誉を損なうことになるだろう。中国はレバノン情勢の悪化に憂慮し、緊急人道支援を実施し、停戦に向けた外交的努力を行っている」と述べました。
特別会議で採択された決議は、国際人道法を遵守し、ジュネーブ条約を履行し、民間人への武力行使を回避するようイスラエルとヒズボラに要求し、レバノンの民生用目標への攻撃と民間人への殺戮を調査するハイレベル調査委員会を設置し、この委員会への支持を国連の事務総長と人道高等弁務官に要請し、レバノンへの人道と財政の緊急支援を国際社会に呼びかけました。
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