国連安全保障理事会は7月31日、イラン核問題に関する決議・1696号を採択しました。
決議は「ウラン濃縮と関連活動を8月31日まで全て停止し、停止しない場合、国連憲章第7章41条に基づき、経済・外交などの制裁措置を検討する」としています。
安保理の投票で理事国15カ国のうち、カタールだけが反対票を投じました。
この決議はイラン核問題の政治・外交的解決とIAEA・国際原子力機関の中心的な役割を強調しました。
決議は「安保理常任理事国とドイツの包括的見返り案はイラン核問題の全面的解決を求めた重要な努力である」と評価しています。
決議はまた、イランが安保理決議に従い、ウラン濃縮と関連活動の全てを停止したかどうかを安保理に報告するよう国際原子力機関に要求し、停止しない場合、国連憲章第7章41条に基づき、適切な措置採択を検討するとしています。
安保理は今年3月、3週間にわたる協議の結果、議長声明を発表しました。
声明は国際原子力機関の要請に基づき30日以内にウラン濃縮と関連活動を停止するようイランに求めました。
イランは「核技術の平和利用権利を持つ」としてウラン濃縮を継続し、4月11日に、「低濃縮ウランの製造に成功した」と発表しました。
6月、安保理常任理事国とドイツは包括的見返り案を提出して早期回答をイランに要求しました。
この提案に対し、イランは8月下旬の回答を堅持しています。
7月12日、安保理常任理事国5カ国とドイツの外相がパリで会合し、イランは包括的見返り案に真剣に回答せず、核問題を安保理に付託することが決定しました。
会合でアメリカ、イギリス、フランスなどは国連憲章第7章に基づきイランを制裁するよう要求しました。
一方、ロシアと中国は制裁による武力行使の誘発を懸念し、国際原子力機関の役割を擁護するよう、立場を堅持しました。
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツは新たな決議を提案し、6カ国間で協議を行い、安保理に提出し、31日の表決に至りました。
この決議案は"ウラン濃縮を停止しない場合、制裁措置を採択する"内容を"制裁措置の採択を検討する"に変更しました。
今回決議の採択を受け、中国の劉振民国連代理大使は「イラン核問題の安保理付託は核拡散防止体制の擁護、国際原子力機関の権威向上と役割強化、問題の政治・外交的解決を目的とする。3月の安保理議長声明から今回の決議採択までのプロセスはこの目的の達成を求めている。しかし、国際原子力機関と安保理の要求に、イランは積極的な回答を行っていない」と指摘しました。
劉振民代理大使はまた「イラン核問題は当事国間の不信が主な原因で解決が遅延されている。この問題は安保理による一方的解決が可能ではなく、対話と交渉は唯一の解決ルートである」と述べました。
イギリスとフランスは「イランは安保理常任理事国とドイツ6カ国の包括的見返り案に回答するまで時間がある」としています。
イランは「核の開発は平和利用を目的としている。今回の安保理決議採択はイランと国際原子力機関の協力と核問題関連の交渉を維持するためであるものの、安保理の介入は交渉の進展を妨害するものだ」と反発しました。
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