12日から、イスラエル軍は、レバノンに対して大規模な軍事行動を発動しました。レバノン領内の空港、主要な道路、橋梁及びヒズボラ(神の党)武装勢力の基地を空爆し、レバノンを全面的に封鎖しました。これは、2000年にイスラエル軍がレバノン南部から撤退して以来、最大規模の軍事行動です。
12日、レバノンのヒズボラ武装勢力は、2人のイスラエル軍兵士を拉致しました。そして、イスラエル北部の町で最大の港ハイファをはじめレバノンの重要な都市にカチューシャロケット弾を発射しました。その攻撃で、2人が死亡、100人あまりが負傷しました。イスラエルは、これをヒズボラ武装勢力の戦略的な攻撃であり、イスラエル軍の悲惨な失敗だと受け止めています。
越境攻撃を受けた後、イスラエル政府は、情勢を見直しました。イスラエルの高官は、ヒズボラ武装勢力の攻撃活動は、情勢の転換点だと思うと語りました。また、イスラエル政府は、ヒズボラ武装勢力と密接な関係を持つシリアとイラン政府が今回の攻撃とかかわっていると認識しています。イスラエルのオルメルト首相は、「シリア政府はテロリズムを支援するテロ政府になっている」と述べました。イスラエルの世論は、イスラム原理主義組織ハマス、ヒズボラ武装勢力、シリアとイランからなる『反イスラエル同盟』が結成されたとしています。イスラエルの新聞『エルザレムポスト』は論説を発表し、ヒズボラ武装勢力の軍事活動を撲滅するのは、今後シリアとイランとの対処にとってより多くの行動が発生するとの見解を示しました。13日、イスラエル軍がレバノンとシリアの国境地域にある2ヶ所のレバノン軍事基地に攻撃を加えたのは、まさにシリアに警告する意図が含まれるとされています。
こうして見ると、イスラエル軍がレバノンを攻撃したのは、ヒズボラ武装勢力への復讐だけではなく、より深い戦略的な考慮が入っています。しかし、レバノンの複雑な国内情勢、地理的環境と大規模な進攻が招きかねない国際社会からの非難を考慮して、イスラエルは、慎重な行動を取らざるを得ません。したがって、イスラエル軍は、陸軍を出さずに、空爆と遠距離攻撃の方式を取っています。イスラエルの日刊紙ハアレツは、人質事件で将来が測れ知れない戦争に陥らないよう自制してほしいとイスラエル政府に警告を出しました。
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