イスラエル政府は5日オルメルト首相が治安閣議を開き、ガザ地区に対する軍事攻撃を拡大・強化すると決定し、パレスチナ自治政府を率いるイスラム原理主義組織ハマス対する強硬姿勢を示唆しました。
世論は「イスラエルとパレスチナ間の武力応酬がエスカレートするだろう」としています。
今回の治安閣議はパレスチナ武装集団がイスラエル領内を襲撃し、負傷した女性兵士を拉致し、イスラエル南部にハマスのロケット弾が撃ち込んだことが背景となっています。
この4日、イスラエル中南部の沿岸都市アシュケロンの中心部にある小学校に、ガザ地区からハマス武装集団が発射したカッサムロケット弾が着弾しました。
死傷者が出なかったものの、南部都市でのカッサムロケット弾の着弾はこれが初めてであるため、イスラエル政府にとって大きな打撃となっています。
イスラエル国内世論は「イスラエル軍の大規模侵攻や爆撃にも関わらず、ハマス武装集団はイスラエル領内の都市を標的に、ロケット弾攻撃を成功裡に実施した。これはイスラエル政府への反撃であり、イスラエル軍への抵抗力を示した。攻撃の標的はアシュケロンからテルアビブなどの大都市へ拡大されるだろう」としています。
オルメルト首相は「今回のロケット弾攻撃はハマスによるテロ作戦のエスカレートだ」と非難しました。
5日の治安閣議は「ガザ地区への軍事攻撃を拡大し、ヨルダン川西岸を含め、テロ作戦の基地と施設を標的に、ハマスの武装集団を攻撃する。また、ガザ地区に対する分割・封鎖を強化し、パレスチナ武装集団の活動を制限する」と決定しました。
会議は更に「パレスチナ自治政府とハマスに対するこれまでの方針を見直す」と、声明を発表しました。
会議の当日、イスラエル軍の戦車と装甲車がガザ地区に侵入し、カッサムロケット弾の発射基地を攻撃し、ハマス武装集団と激戦しました。
報道によりますと、イスラエル軍はガザ地区の多数の標的を空爆し、人口の多いガザ南部のカーンユニスへの進攻も可能であり、ハマス武装集団の指導者を攻撃し、交戦がエスカレートした場合、パレスチナ自治政府のハマス閣僚も標的になるとのことです。
イスラエルの一部世論は「イスラエル政府にとって三つの選択がある。一つ目は、パレスチナ人拘束者を釈放し、拉致された兵士と交換する。二つ目は、パレスチナ武装集団に対する限定的な侵攻を継続する。三つ目は、軍事攻撃を拡大し、ハマス主導のパレスチナ自治政府を転覆させる。ガザ付近のアシュケロンでのロケット弾の着弾でハマス政権転覆への方針見直しは可能性が大きくなる」としています。
イスラエルの日刊新聞「ハレツ」は「ガザ地区への侵攻はアシュケロンのロケット弾の着弾を理由とするべきではない。ハマス政権の転覆はイスラエルにとって大きな混乱である。長期的に見れば、パレスチナ領土からの撤退が唯一の解決策であり、パレスチナ人が正常な生活を取り戻し、飢饉と侮辱から脱出する限り、イスラエルの根本的利益が実現できる」と指摘しました。
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