2006年6月20日及び21日、日米両政府は、米国産牛肉輸入問題に関する局長級テレビ会合を開催した。協議の結果、日米両政府は、以下の措置の実施と輸入手続の再開について認識を共有した。
1 米国側の措置
米国政府は、次の措置を含め、対日輸出プログラムの遵守のための措置が確実に講じられるようにする。
施設の措置
(1) 対日輸出認定施設においては、対日輸出ができる製品のリストを作成し、これを当該施設のマニュアルに明確に記載する。特に、部分肉処理施設については、輸出向け製品の原料(枝肉等)の仕入先リストと仕入先ごとに仕入可能な製品のリストを作成することとし、これらを当該施設のマニュアルに明確に記載する。
(2) 対日輸出認定施設においては、当該施設のマニュアルに、特定危険部位の除去等の対日輸出プログラム上必要とされている条件を記載する。
(3) 対日輸出認定施設においては、対日輸出ができる製品等対日輸出条件について、当該施設の役職員への周知を徹底する。
農務省農業販売促進局(AMS)の措置
(1) AMSは、対日輸出を行おうとする施設の認定に当たり、マニュアルが適正なものであるか、当該施設の役職員が対日輸出プログラムを十分に理解しているかを確認する。当該施設を担当する検査官の研修が終了した後に、初めて当該施設の認定が行われる。
(2) AMSは、対日輸出認定施設ごとに対日輸出ができる製品のリストを管理し、当該施設からの輸出に先立ち、このリストに基づき、輸出申請ごとに、輸出しようとしている製品が輸出可能かどうかを確認する。
(3) AMSは、対日輸出認定施設における対日輸出プログラムの遵守状況を確認するため、通常年2回実施する査察とは別に、少なくとも年1回、全ての対日輸出認定施設を対象として抜打ちによる査察を実施する。
農務省食品安全検査局(FSIS)の措置
(1) FSISは、検査官に対し、輸出プログラム条件に関する試験への合格を義務付けることなどを通じて、対日輸出プログラム条件の周知徹底を図る。
(2) FSISは、輸出検査証明を行うに当たり、検査される製品が輸出できる製品のリストに掲載されていることや、対日輸出プログラム条件を満たすものであることを確認する。
(3) FSISは、対日輸出認定施設における輸出証明の適切な実施状況を確認するため、抜打ちによる査察を実施する。
日本側の措置
1 対日出荷再開前の現地調査
日本政府は、対日出荷再開前に、米国側の措置の適切な実施や、対日輸出認定施設における対日輸出プログラムの遵守について検証するための調査(現地調査)を実施する。併せて、農場及び飼料工場における生産記録の受渡し、飼料給与実態等を確認する調査を実施する。
2 米国農務省による抜打ち査察への同行
日本政府は、日本側が行う通常の査察に加えて、AMSやFSISが行う抜打ち査察に同行し、対日輸出認定施設における対日輸出プログラムの遵守状況等を検証する。
3 日本の水際での検査の強化
日本政府は、AMSから提供を受けた対日輸出認定施設ごとの輸出できる製品のリストを活用して製品の適合性を確認するとともに、当面、輸入業者の協力を得て全箱確認を行うことも含め、現物検査における開梱数を増やすなど水際での検査を強化する。
不適合な製品が輸入港で発見された場合、日本政府は、米国政府に連絡しつつ違反の性質に応じた適切な措置を講ずる。
4 輸入業者に対する対日輸出プログラム条件についての周知徹底
日本政府は、輸入業者に対し改めて対日輸出プログラム条件の周知徹底を図るとともに、対日輸出条件に適合しない製品の発注を防止するなど輸入業者の自主管理の推進を図る。
3 輸入手続の再開
1、日本政府は、米国の検査体制及び対日輸出プログラムの有効性を検証した上で、最初の現地調査において、不適合(ノンコンプライアンス)がなかった施設について、速やかに輸入手続を再開する。不適合のある施設が発見された場合、日本政府と米国政府は、その不適合について緊密に協議する。
注:(1)日本政府は、現地調査終了後、調査結果を速やかに米国政府へ通報する。
(2)上記の通報後(注(1))、不適合がなかった施設は、対日輸出向け製品用のと畜を再開する。
(3)不適合のある施設が発見された場合、米国政府は、日本政府と協議後、それら施設を遵守施設とするために必要な是正措置を確認する。これら是正措置が実施された際、日本政府は通知を受けて確認を行う機会が用意される。米国政府は、これらの施設を対日輸出に適格と証明する。
2、現時点において日本国内で保管されている輸入手続停止中の牛肉等(未通関牛肉等)については、米国政府の再調査では、不適合がなかった。したがって、日本政府による現地調査中の確認で不適合がなければ、輸入手続の再開後に、全箱確認をし、問題がなかったものについて輸入を認める。
3、「米国から日本向けに輸出される牛肉等の家畜衛生条件」(2005年12月)は有効である。
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