日本の小泉首相は20日午後記者会見を行い、イラク南部サマワに駐留する陸上自衛隊が撤退することを正式に発表しました。そして、額賀防衛庁長官はこの日、イラク南部に駐留するおよそ600人の自衛隊員に撤退命令を出しました。撤退作業は8月中旬に終るということです。日本はどうしてこの時期を選んでイラク駐留軍を撤退させるのでしょうか。
小泉首相によりますと、この決定は、アメリカ、イギリス、オーストラリアと協議した後決めたもので、日本の陸上自衛隊はイラクの復興を支援する目標を既に達成したということです。過去二年余りの間に、イラク南部の供水や学校の修復、道路整備などに協力するため、日本は10数回にわたり陸上自衛隊を派遣しました。陸上自衛隊の派遣目標は既に達成したので、ここから撤退するのは当然のことです。一方、イラクのアル・マリキ首相は19日、イラク軍は7月から駐留連合軍からイラク南部のムサンナの安全保障を担当すると発表しています。これも、ムサンナ州の中心地サマワに駐留する陸上自衛隊の撤退に条件を作り出しました。ところが、専門家は「日本がイラクから陸上自衛隊を撤退させる理由はこれだけに限らない」と分析しています。
これは9月に行われる自民党総裁の選挙に向け雰囲気を作るためだと見られています。2003年12月日本の内閣は当時、まだ戦争状態にあったイラクに自衛隊を派遣する方針を決定しました。そして、2004年1月19日国会の同意を得ないまま、イラクへ先遣隊を派遣しました。日本政府のこうした行動は当時、野党や日本国民から強く反対されました。今でも50%以上の日本国民がイラクへの自衛隊派遣に反対していることは、「朝日新聞」がこのほど行った最新の調査でも分かりました。
これについて、専門家は、小泉首相が離任するまで4ヶ月未満という状況で、自衛隊撤退ということを明らかにしたのは、国民から信頼危機の緩和や権力交代などのことを考慮しているからだと見ています。
今回は陸上自衛隊を撤退させるだけで、航空自衛隊は撤退しないどころか、その活動範囲も拡大されました。小泉首相が昨日の記者会見で、日本の航空自衛隊の活動範囲を拡大し、より多くの任務を担うようになると述べました。例えば、今後、国連や多国籍部隊を支援するための輸送活動は続けられます。また、その活動範囲も現在の南部地区から首都・バグダッドや北部のアルビルまでに拡大されるようになりました。報道によりますと、日本とアメリカの首脳が今月29日には会談を行い、イラクに駐留する日本航空自衛隊の任務などについて、さらに討議するということです。話によりますと、日本は現在、航空自衛隊の活動範囲を拡大する以外に、アメリカ軍のための情報収集にも協力するとしています。
今度の陸上自衛隊のイラク撤退について、日本共産党の志位委員長は「航空自衛隊の活動範囲を拡大すれば、イラク駐留アメリカ軍の実務にもう一歩踏み込むことになる。これは非常に危険なことを意味する」との考えを示したあと、航空自衛隊もいち早く撤退するよう政府に訴えています。また、日本マスコミの報道によりますと、日本国民特に自衛隊の家族達は陸上自衛隊の撤退だけでなく、航空自衛隊の早期撤退をも望んでいるということです。
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