イギリスのブレア首相は8日の記者会見で「イラクでマリキ新首相が組閣すれば、関係諸国は多国籍軍の役割を検討し、イギリス軍は駐留規模を削減し、政府は今後数週間以内に兵力削減の具体策を実施する」と発表しました。
世論は「首相の発言はイラク駐留部隊のイラクでの難局が続き、イラク戦争に参加させた政府への不満が高まっている現状を受け、発表されたものだ」としています。
5月6日、イラク南部のバスラでイギリス軍のヘリコプターが攻撃を受け墜落し、現場の住民は抗議活動を行い、イギリス軍の装甲車3台に放火し、激しく抵抗しました。この衝突で現地住民3人が死亡し、10人が負傷しました。
こうした事件から見れば、旧フセイン政権が打倒されて3年以来、治安情勢が依然として厳しく、イギリス軍はアメリカ軍と同様、困難が続いており、ブレア政権にとってイラク問題は大きな負担となっています。
イラク人による外国占領軍への反感が高まっている現状を受け、イギリスの新聞「インディペンデント」などの主要メディアは「イラク戦争はブレア政権の恐怖の遺産であり、イギリス軍はイラクの難局に陥っている」と指摘しています。
前陸軍のティム・コリンズ大佐は「イギリス軍ヘリコプターの墜落は戦闘能力の低下と装備不足の問題を暴露した」と指摘しました。
イギリス軍は現在使用中の兵器が不足し、一部装備の部品が欠乏しています。
イギリス国内メディアの発表によりますと、イラクに派遣された空軍輸送機C?130の燃料タンクは爆破防止装置が据え付けられておらず、空軍は2002年国防省に報告し、国防省は問題解決を約束したものの、解決策が実施されていないため、去年1月バグダッド付近でC?130機1機が墜落し、兵士10人が死亡しました。
イギリス軍ではまた装備の維持で問題を残しています。
現在の装備が損傷を受けても、兵員の安全と健康を害する可能性が認められた場合、メンテナンスが行われるとのことです。更に、部隊の訓練時間が短縮され、兵員の士気が低下しています。
イギリス軍では陸軍の新兵の訓練時間が保障されず、海軍艦艇の出航時間が短縮され、空軍では戦闘機パイロットの飛行時間も減少しています。
軍事アナリストは「イギリス軍の難局は戦線が長すぎ、海外派遣部隊の規模が過大なことにある」と見ています。
イギリス国防省は「2つの中規模作戦と1つの小規模作戦を同時に遂行できる」とイギリス軍の作戦遂行能力を白書で発表しましたが、ブレア政権はアメリカのグローバル戦略に歩調を合わせ、イラク、アフガニスタンなど海外派兵は拡大しています。
5月4日、ブレア首相が率いる与党・労働党は統一地方選挙で大敗しました。
イギリス国内世論は「イラク戦争に参戦し、イギリス軍は今でも泥沼状態を脱出できないことが労働党が選挙で破れた重要な原因である」としています。
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