イラクで旧フセイン政権が崩壊した後初めての正式議会選挙は15日投開票が始まりました。
選挙管理委員会によりますと、投票率は70%に達すると予測され、バグダッドと一部地方では爆発事件があったものの、治安情況は全体的に見れば平穏を維持しており、国民の大多数が政治再建のプロセスを受け入れ、再建のための内外環境は改善されていると言えます。
今回の議会選挙はイラクの安定とイラク人自身による自治への欲求を示しています。
イラク国民は効率的な議会と政府を選出し、治安維持の早期実現を希望し、投票への参加意欲が高まっています。
旧フセイン政権で主導的地位に立ったイスラム教のスンニ派は政治再建に協力しないという対抗姿勢を一変させ、自らの権益を擁護するため、政治再建プロセスに参加しています。
こうした情勢の中、スンニ派による武力攻撃の減少はイラクの政治的安定にとってプラスとなり、今回の議会選挙はイスラム教シーア派、スンニ派、クルド人がそれぞれ人口に基づく政治権力の配分を行い、議会の代表性を強めることから、政府の運営に有利であると見られています。
アメリカとイギリスは来年におけるイラク駐留部隊の一部撤退を計画し、反米武装勢力の活動が縮小される可能性があります。
国連とアラブ連盟はイラク各派の和解を目指し、バグダッドで国民統一会議の来年の開催に準備しています。EUはイラクの再建で経済協力を強化する姿勢を示しています。
しかし、選挙後のイラク情勢は不安定要素が多くあると見られています。
選挙の開票作業は公正さと透明性が確保されるかどうか、各派が選挙結果を受け入れるかどうかが治安情勢の安定を左右しています。
議会でイスラム教のシーア派、スンニ派、クルド人はそれぞれの主張をもっています。
イラク暫定政府のアラウィ前首相が率いるシーア派の世俗派勢力は旧フセイン政権の与党であるバース党の一掃を堅持し、スンニ派の保守派は中央集権を主張し、クルド人はキルクークのクルド自治区への編入を要求しています。
アメリカ軍のイラク駐留は長期化すれば、治安情勢の安定にとって脅威となります。
アメリカのブッシュ大統領はイラクからの軍撤退におけるタイムテーブルの設定を拒否しました。
イラクではアメリカ軍の駐留が継続すれば、反米勢力の攻撃が停止することはあり得ないと見られています。(12/16)
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