イラクシーア派正当連盟である統一イラク同盟（ＵＩＡ）は12日、投票で暫定政府のジャファリ首相の新首相立候補を決めました。この結果はシーア派内部の首相候補者の争いを終え、民族団結の政府へ踏み出す鍵となる一歩だとされています。

　関係筋によりますと、この日に行われた統一イラク同盟の投票で、ジャファリ氏が64票を得て、１票差で暫定政府の副首相であるアディル・アブドルマハディ氏を破ったということです。統一イラク同盟は去年12月に行われたイラク戦後初めての議会選挙で全２７５議席中１２８議席を獲得し、次期大統領から首相の任命を依頼されることになりました。そこで、ジャファリ氏はフセイン政権崩壊後、イラク政府の初めて公式の首相となります。

　関係専門家は、「ジャファリ氏の勝利は現在の政治局面を打破して、統一イラク同盟がスンニ派、クルド人の主な政党との組閣協議をすることに条件を作った」としています。ジャファリ氏がやるべきことは組閣を終えることです。国連、アラブ連盟とEU欧州連合が各派を含む民族団結政府をできるだけ早く結成して、イラクの安全と安定を回復するよう催促しましたが、イラク政局の動揺、派閥利益の複雑さと安全情勢の悪化によって、ジャファリ氏の組閣は多くの試練に直面しているとのことです。

　まず、統一イラク同盟内部の矛盾が短期間で調和させることは難しいです。フセイン・アル・シャハラスタニ氏とナディム・アル・ジャビリ氏の退陣はそれを条件として新政府で職を得ようすることだ見られています。アディル・アブドルマハディ氏が敗北しましたが、統一イラク同盟最大の党派「イラク・イスラム革命最高評議会」（ＳＣＩＲＩ）はそれを認めるとは限りません。同盟内各派のバランスをいかにとるのかは工夫しなければなりません。

　また、ジャファリ氏の政治的主張はクルド人とスンニ派の利益との食い違いが大きいです。首相候補の資格を獲得した際、ジャファリ氏は「統一イラク同盟はイラクの大多数の人の利益を符合する新憲法を下に、各派と組閣協議を行う」と表明しました。というのは、まずイラク人口の60％を占めるシーア派の利益を符合しなければなりません。ところが、クルド人は憲法でイラク北部の石油産地キルクークの所属を明確に規定することを求めており、スンニ派は連邦制に反対するので、各派の利益と調和が難しいです。

　第三に、ジャファリ氏のイランとの関係はアメリカやイラク国内の一部の派閥に不安をもたらしてます。クルド同盟の党首、タラバニ現大統領は「新政府に暫定政府のアラウイ首相の席がないとクルド人はジャファリ氏を支持しない」との姿勢を示しました。

　第四に、治安情勢の悪化は各派の組閣協議を難航させています。議会選挙後、暴力活動が抑制されず、12日もまたバグダッドとその北部に襲撃事件が起きました。これら暴力事件も組閣のプロセスを妨げています。