ここ数年來、中国ではマネーロンダリング犯罪の増加に伴い、違法に資金を移転することも大量に発生しました。これに伴い、中国のマネーロンダリング防止の動きも加速されました。

　全人代常務委員会予算活動委員会の馮淑萍副主任は「マネーロンダリング防止法」制定の必要性について「マネーロンダリングに対する監督措置が欠けていたため、犯罪行為の早期発見が出来なかった。それによって、マネーロンダリングの追及、取り締まり、及び資金没収も影響を受けている。現在、この問題に関連する法律や行政部門の規定も完備されていないため、マネーロンダリングの取締りは余り効果をあげていない」

　「マネーロンダリング防止法」草案で、最も注目するべきところは、関連情報を収集、分析、報告をするマネーロンダリング防止情報センターを設立する規定です。

　これまで、中国のマネーロンダリング防止の取り組み作業は主に金融機関の中で展開されてきまいた。金融機関はマネーロンダリング犯罪の唯一のルーツではなくなりました。中国政府による腐敗防止対策の推進に従って、犯罪者は、法的取締りから逃げるため、不動産売買、ジュエリーや骨董品の販売などの手段を利用しています。こうした行為を防ぐため、「マネーロンダリング防止法」の草案は、銀行、証券や保険などの金融機関をマネーロンダリング取締りの対象とするだけではなく、不動産販売企業や、貴金属類の取引を行う企業、および弁護士や会計士事務所に対する監視の強化を定めています。

　マネーロンダリングの取締りを担当する部門として、中国の中央銀行・中国人民銀行は、マネーロンダリングに対する監視や管理を制度の面から強化してきました。去年7月から、中国では、預金額が20万元以上の個人の口座は監視の対象となりました。「マネーロンダリング防止法」は、こうした対策を一段と強化し、銀行利用者の身分の確認など一連の監視・管理体制をより整備することにしています。これについて、馮副主任は、この草案は、金融機関と特定の非金融機関でのユーザーの身分識別システムの設置を求めているほか、多額取引と疑わしい取引についての報告制度を定め、一定の金額を超え、明白な経済的、かつ合法的な目的のない異常な取引については、直ちに関連の情報センターに報告することをこれら機関に義務付けています。

　「マネーロンダリング防止法」はその犯罪の予防と監督や阻止についても規定を設け、関連の制裁と取締りについては全人代常務委員会会議の審議に付した「刑法修正案草案」に関連規定として盛り込まれます。今後は、マネーロンダリング行為を隠蔽するすべての行為は「刑法」に基づき処分されますが、これについて全人代常務委員会法律委員会の周坤仁副主任委員は、「法的限界を明確にして、他の犯罪による不法な所得を隠蔽したり、粉飾したりする重大犯罪への取締りを強化するため、この草案は、犯罪によって得た利益及びその利益を隠蔽したり、移転したりした場合は、刑事責任を問われる」と強調しました。このほか、マネーロンダリングの規制に関するこれら一連の措置は、テロリストへの資金援助の取り締まりにも適用するのです。