国連安保理が3月29日にイラン核問題に関する声明を採択しました。そして、ドイツのステインメール外相はベルリンで安保理常任五ヵ国を招き、協議の結果、イラン核問題についての声明を発表しました。
この二つの声明はイランのウラン濃縮活動の中止を呼びかけたほか、外交手段でイラン問題を解決する必要性と、このプロセスでIAEA・国際原子力機関が果す役割を強調する点で一致していることに注目されています。これは関係各側が声明の中でイラン核問題の外交的解決に新たな一歩を踏み出したことを意味しています。
報道によりますと、29日に採択された安保理の声明はイギリスとフランス両国が草案を三回修正を行った後に採択されたとのことです。これは米欧がロシアと中国の立場を慎重に考えた後に達成した妥協だと世論は指摘しています。
まず、イギリスとフランスが提案した本文にあったイラン核活動は「世界の平和と安全を脅かす可能性がある」との表現が削除され、公式声明にはイランが全面的で持続的に、研究開発を含むあらゆる濃縮ウラン関連活動を中止することの国際信頼構築での重要性を強調しました。ロシアは「世界の平和と安全」が本当に脅かされた場合、国連憲章の規定に基づいて、安保理がこのような安全に対する脅威を処理する責任があり、しかも処理過程で安保理は重要な役割を果さなければならないと見ているのです。
次に、安保理の声明ではIAEA・国際原子力機関の事務局長が30日間以内に国際原子力機関と安保理にイランの協議履行状況を報告することを求めていますが、これはイギリスとフランスが提案した14日間より半月間も延長した案です。ロシアは今でも、イラン核問題解決の主役はIAEA・国際原子力機関だと見ています。
第三に、ロシアと中国の努力の下で、安保理の声明には経済制裁など強硬な言葉遣いを避けたので、外交面の努力により多くの時間と活動に余裕を与えました。
中国の王光亜国連常駐代表は「安保理の声明の最も重要な意味は外交面の努力でイラン核問題を解決することを示したところにある。声明は国際核拡散防止メカニズムの権威性を強調し、IAEA・国際原子力機関と事務局長の作業への全面的な支持を表し、話し合いで解決する願いを体現している」と評価しました。更に、「安保理の声明の採択は重要なステップだが、もっと重要なのは次のステップで安保理外でEU三ヵ国とロシアを含むあらゆる関係国がこれをきっかけに、更に各種の外交手段を活性化させて、イラン核問題の適切な解決を促すことだ」と強調しました。
声明採択後、五つの安保理常任理事国とドイツの外相がベルリンで今後の行動について協議しました。協議後の各国の反応を見れば、互いに一致する点があるものの、食い違いも依然存在していると見られます。
ヨーロッパのマスコミは、ロシアと中国と西側国家、特にアメリカとの間に、イラン核問題に対する基本的な考え、立場と処理手段での食い違いは声明の採択によって消されてはないと指摘してます。各種要素の制約により、アメリカはイランが対応する効率的な手段は少ないと言えます。このような状況によって、アメリカの策略は国際社会を説得して、「連合戦線」を組んだ後、イランに対して政治的孤立と経済的制裁を併用すると共に、今後軍事攻撃の可能性を作りだすことです。アメリカのこの策略はロシアと中国が受け入れることはできないばかりか、将来のある時期に、ヨーロッパの一部国家もアメリカのこの策略と別れを告げることも考えられます。
|