ロシア原子力局のキリイェンコ局長は、このほど、「ロシアはイランがロシアの初めての国際ウラン濃縮センター建設への参加を要請した。イランはこのセンターの建設に参加する初めての外国になる可能性がある」と述べました。これはプーチン大統領が先月の末に提案した「国際核エネルギーセンター・システム」の構想が実行される可能性があり、日増しに激化しているイラン核問題の解決にいささかな希望をもたらしています。
この「国際核エネルギーセンター・システム」の構想によりますと、関連国は世界範囲で、平和的に核エネルギーを開発するサービス体制を確立し、IAEA・国際原子力機関の監視の下で、ウラン濃縮活動を含む核エネルギー循環サービスをすべての国に提供します。このシステムには世界範囲で数ヵ所の核エネルギー生産と加工センターを設置し、核技術を備えていない国に核燃料の生産、備蓄と技術面のサポートなどを提供することが含まれています。
ロシア原子力局のアンティポフ副局長は、今月の初めに、マスコミに対して、「初めての国際核エネルギーセンターをロシアのシベリア地区に設置する可能性がある。そこの客観的な条件が国際核エネルギーセンターの建設にふさわしいものだ」と述べました。一方、キリイェンコ局長は、8日「イランの高級代表団は16日に、ロシアを訪れる。私も今月末に、イランを事務訪問し、イランと関連提案を討論する」と語りました。
これに対して、専門家は、ロシアが国際核エネルギーセンターを積極的に建設することは次の三つの原因があると指摘しています。まず、ロシアはイランとの関係を維持することです。イランはロシアにとって重要な経済貿易パートナーで、双方は軍事工業、宇宙航空などの分野における交流が非常に盛んで、国際社会がイランのすべての核活動の停止を要求している状況の下で、ロシアはイランを明確に支持する態度を見せたくないが、国際核エネルギーセンター設置の提案が受け入れられたら、イランとの友好関係を維持することが出来るのです。第2は、この構想が実行に移されれば、ロシアはこのシステムの提唱者と直接的な参加者として、この提案から多くの経済利益を得ることが出来るということです。第3は、この提案はイランが核兵器を開発する計画を廃棄させ、アメリカにイラン問題介入の口実を与えず、ロシアの戦略的な安全を確保することができるとのことです。
現在、イランはロシアの提案に積極的な態度を示しています。今月、イランとロシアは一連の会合を行い、この核エネルギーセンターの建設に参加することを討議します。しかし、イランは最終的にロシアの提案を受け入れられるかはまだ断言できません。といいますと、イランは核施設の主権をずっと握るつもりで、ロシア側の提案がイランのこの要求を満たすことが出来ません。
一方、アメリカはロシアの提案にまだ態度を示していませんが、この計画はブッシュ大統領がかつて提案した「国際核燃料バンク」の構想に似ているから、アメリカはこの提案を受け入れる可能性があります。また、数多くのマスコミは、「他の提案に比べて、ロシアの提案は最大限に各側の利益を考慮している」と見ています。
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