イラク独立選挙管理委員会は20日、去年の12月のイラク国民議会選挙の最終結果を正式に発表しましたが、その結果、シーア派の「イラク統一連盟」は選挙で勝利を獲得したものの、絶対多数の議席を占めることは出来ませんでした。
結果発表によると、シーア派の「イラク統一連盟」は275の議席のうち128議席を獲得し、「クルド連盟」は53議席、スンニ派の『イラク合意戦線』と「イラク国民対話戦線」は合わせて55議席、アラウィ前首相の率いる「イラク国民名簿」は25議席をそれぞれ獲得しました。
選挙結果の発表を前、イラクの民衆がこの結果を受け入れるかどうかを懸念し、暴力事件を防ぐためイラク治安部隊はアンバールやディヤラなどの州で厳しい安全措置を講じました。
選挙の結果発表後、イラク国内の政治各派はそれ反応を示しています。まず、シーア派の民衆は街頭に繰り出し勝利を祝うと同時に、勝利を勝ち取ったものの「イラク統一連盟」が絶対多数の議席を得られなかったことについては異議を唱え、「今回選挙での議席の割当案は選挙規定に違反している。このため、イラク統一連盟は6議席から8議席を失った。われわれは選挙委員会に上訴し、この選挙法について新たに解釈して求めていく」としています。
また、これまで、選挙には不正があると指摘してきたスンニ派は依然として、「選挙には不正がある」と強調し ています。
一方、国際社会はイラクの議会選挙の結果に歓迎の意を示しています。国連のアナン事務総長は20日声明を発表し、「国連はイラクの政治プロセスを引き続き支持していく。イラクの各政党は和解の精神に基づいて、協力を行い、包容性と広汎な代表性のある政府を樹立するため共に努力するべきだ」と述べています。
アメリカ国務省のスポークスマンは当日、アメリカはイラクのシーア派、スンニ派とクルド人が共同に努力し、イラク人民に奉仕できる責任を持てる政府を樹立することを希望しました。
専門家は「何はともあれ、イラク議会選挙の結果の発表は新しい議会と政府の設置に道を開き、イラクの民主的な政治を新しい段階に推し進めた」と見ています。
その理由として選挙結果と議席の割当はイラクの人口構造とはほぼ符合し、より大きな代表性があることを挙げています。統計によりますと、イラクでは、シーア派は総人口の60%を占め、スンニ派は20%、クルド人は15%から20%をそれぞれ占めているのです。ですからこれら数字はその獲得した議席の比率と符合しているといえるのです。このほか、イラク選挙管理委員会と国際調査グループの調査は、選挙における不正行為は個別なもので、今回の投票の結果は否定できないとしています。
次に、シーア派の「イラク統一同盟」が絶対多数の議席を得られなかったことから、シーア派が他の政治各派と権力を分かちあわなければならなくなり、またスンニ派は議会では勢力を拡大し、そのイラクの政治プロセスに参与していく決意を強くしており、これら要素はイラクの各派を含む新しい政府の樹立にプラスとなり、イラクの安全情勢維持にも有利だからです。、
関係者は「イラク各派の間には依然として多くの利益について紛争や政治的な食い違いがあるため、真の民族的政府を樹立する道は平坦ではない」と見ているのです。
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