ロシアとイランの代表は7日と8日の両日、テヘランで会談を行ない、イラン核問題についてのロシア側の提案について検討しました。ロシアの参入は各国の利益にとってもプラスとなるものだとみられています。
ロシアは去年末、ロシア国内にイランとのウラン濃縮合弁企業の設置を提案し、EUもアメリカもこの提案を受け入れると表明しています。しかし、イランは、自国でのウラン濃縮方針を堅持し、ロシア側の提案が完備していない枠組み提案に過ぎないとし、提案内容の充実をロシアに求めました。このため、ロシアはハイレベルの政府代表団をテヘランに派遣し、会談を行なったものです。
イラン最高国家安全委員会のエンテザミ・スポークスマンは7日、「双方は、ロシア国内におけるウラン濃縮の共同進行や、イランでのウラン濃縮について検討し、満足できる会談を行なった」と表明しています。
今回の会談は、イランがウラン濃縮の研究を再開しようとし、EUとイランの核問題に関する交渉が難航している状況の下で行なわれたものです。イランはこのほど、2年間中断していた原子力燃料開発作業を9日再開すると宣言しました。これを受けて、IAEA・国際原子力機関の査察員が封印をはがす作業を監督するためテヘラン入りしています。
イラン外務省のアセフィ・スポークスマンは8日「イランは核研究の面でIAEAの監督を受けていく」と表明すると同時に、「西側諸国は、科学研究目的と工業化のウラン濃縮作業を見分けるべきだ」と強調しました。
ヨーロッパは、イランが科学研究活動で西側諸国の決めた限度を超えることが心配です。西側諸国は、科学研究のためのイランのウラン濃縮をも決して許さず、これを限度としています。IAEAのエルバラダイ事務局長は、「イランがウラン濃縮活動を中止することは国際的信頼を確立する基盤だ」と示しています。イランの「核燃料研究」の性質を究明するため、IAEAの専門家はイラン側と数日検討しましたが、今なお、イランの目的ははっきりとしていません。
ロシア側の提案はまさにこのような時期に出されたもので、直ちにイランとの会談に踏み切りました。ロシアはずっと、イランへ核技術を譲渡する主な国となっており、ロシアの援助でイランに原子力発電所が一ヶ所建てられ、さらに今後数ヶ所の原子力発電所建設について協定が結ばれています。
イランがロシアの提案を受け入れれば、国連安保理にこの問題を持ち出されることを避けることができ、さらにロシア側のイランにおける長期的利益も確保されます。一方、ロシア側は、国際的危機が解決できれば、その国際的イメージアップに繋がり、イランへの今後の影響力強化にもプラスとなるとみられます。
しかし、今回の会談で、ロシアが完全にイラン核問題に参入したとは言い切れません。それにしても、ロシアの参入はイランにとってなんといっても良いことで、イラン核問題交渉の多角化を表し、EUとの交渉におけるイランの地位を改善させ、EUとアメリカを牽制することができると見られます。
一方、これはEUやアメリカにとっても悪いことではありません。早いうちにイランとの交渉が途絶えないと同時に、効果的な手段に乏しいです。こうしたことから、EUとアメリカはロシアの協力を必要としており、これはロシアとの協調にもプラスとなるとされています。
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