カタールのアルジャジーラテレビによりますと、イラクの首都バグダッドで、19日2件の爆発事件が発生し、3人の警察官を含む22人が死亡し、26人が負傷しました。この日、イラク警察はバグダッド北側の地区で住民12人の遺体を発見しました。またその前日の18日には、イラク電気通信会社の車両はバグダッド西部地区で襲撃され10人が死亡し、2人の外国人エンジニアが拉致されました。そして、16日、35人のイラク人がバグダッド警察学校の入学試験への申請が拒否された後、バグダッドから北部のサーマッラー市に帰る途中、身元の分からない武装勢力に拉致されました。このほか、アルジャジーラテレビで17日夜、アメリカの記者のジル・キャロルさんがイラク武装勢力に拉致された映像が流れ、国際社会の注目を浴びています。

　関係者は「最近、イラクでの暴力活動が再びエスカレートしてきたことはスンニ派が議会選挙の結果に不満を持っていることと大きな関係があり、頻繁に武力行使を行い、選挙に対する失望と抗議の意思を表している」と見ています。

　まず、イラク選挙委員会の発表した状況によると、現在の与党であるシーア派の「イラク統一連盟」が引き続き半数近くの議席を占め、立法、行政の主導権を握ると見られています。このため、スンニ派は今後、閣僚ポストの分配や憲法修正などをめぐる争いで優位に立ちことが難しくなりました。

　そして、選挙の不正に対するイラク選挙委員会と国際専門家グループの調査結果から、選挙結果を改変しようとするスンニ派の考えも打ち砕かれました。選挙委員会は16日、不正疑惑がある227個の投票箱の集計を取り止めました。しかし、これら投票箱は全国3万個の投票箱の1％に過ぎず、選挙の結果に影響することはありません。選挙の不正について、調査を行っている専門家グループは19日、「選挙に重大な不正は存在していない」との報告を発表しました。

　さらに、イラク統一連盟はクルド連盟と連合して国民議会と政府を掌握しようとしており、スンニ派は隅に追いやられる可能性があります。選挙委員会の発表によると、イラク統一連盟は新国民議会、275の議席の内130議席を獲得、クルド連盟は50議席以上を獲得する可能性があり、二つの連盟は合わせて、3分の2の議席を占める圧倒的な優位を保つことになります。選挙後、この二つの連盟は組閣について協議を始めました。また、シーア派、クルド人はスンニ派と連邦制や石油の利益の分配などに関する問題で大きな意見の食い違いがあります。

　関係者は、「イラクの治安情勢は政治局面と緊密に関連性がある。当局が一連の安全措置を講じ、選挙の結果を正式に発表したとしても、治安情勢は楽観視できない。政治的な交渉を通じて、食い違いを解決し、民族団結政府を作り上げることこそ、暴力を無くす手段である」と考えています。