イランは10日、3カ所の核燃料研究施設でIAEA・国際原子力機関による封印を解き、ウラン濃縮活動を再開しました。
これに対し、イギリス、フランス、ドイツ3カ国の外相は緊急会議を開催し、イラン核問題の安保理付託を協議するようIAEAに要求しました。
これまで慎重な立場を取ってきたロシアは初めて「イラン核問題の安保理付託に必ずしも反対することはない」と表明しました。
こうした情勢でイランに対する国際社会の圧力が強まっています。
イランはこれまで核燃料の研究はウラン濃縮活動ではなく、「核拡散防止条約」の締約国として核エネルギーの平和利用の権利をもっていると主張しています。
イランはまた、一連の外交攻勢を展開し、外務省の高官はそれぞれロシア、中国、韓国を訪問し、核問題に関する自国の主張をめぐり、説得作業を実施しています。
西側の強い批判や脅かしに対し、イランのモッタキ外相は「アメリカとEUが核問題を安保理に付託すれば、イランは自発的に実施しているIAEAとの協力を停止する」と警告しました。
アフマディネジャド大統領は「核の平和利用の正当な権利を絶対に放棄せず、安保理に付託されても再開された核燃料の研究活動を止めない」と強い決意を表明しました。
今後の交渉についてイランは冷静さを保つようEUに呼掛け、アナン国連事務総長を通じ、交渉継続の意向を示しています。
EU3カ国との交渉でイランのラリジャニ代表は「核問題の解決で交渉は唯一のルートである」と強調しました。
国際問題アナリストは、アフマディネジャド大統領が就任して以来、イランは核開発を目指し、前進を見せています。EUは、イランのウラン転換作業の再開を黙認し、アメリカはイランの核平和利用権利を承認しています。
去年8月、イランはEUの経済支援と技術協力などの見返りに核燃料の製造を放棄するとの提案を拒否し、ウラン転換作業を再開しました。去年9月の国連総会でアフマディネジャド大統領は「外国政府や企業と協力し、国内でウラン濃縮を実施する」と提案しました。この10日、ウラン濃縮に関する研究を再開しました。イラン政府は「今後の交渉ではウラン転換とウラン濃縮を協議しない」とし、国内でのウラン濃縮を強く堅持しています。
欧州メディアによりますと、EUとアメリカはIAEA理事会会議を開き、イランの核問題を安保理に付託する決意を表明し、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツに加え、中国とロシアは16日ロンドンで6カ国協議を開催し、イランの核問題に関する立場を調整することになっています。
|