イラク暫定国民議会は25日、当日予定された新憲法草案の採決を打ち切り、ハサニ議長は26日未明、採決を28日に延期すると発表しました。
イラク新憲法草案の採決でこれは3度目の延期となっています。暫定憲法では、暫定議会で3分の2の議員が賛成すれば、新憲法草案が可決され、10月15日までに新憲法草案の是非を問う国民投票を行い、全国18の県で3県の3分の2以上の有権者が反対すれば、草案は否決されるとなっています。
新憲法草案で連邦制の導入は対立の焦点となっています。
議会の275議席で210議席以上を占めるイスラム教シーア派とクルド人は連邦制を支持して議会における憲法草案可決を確保できるものの、イスラム教スンニ派は連邦制でイラクが分裂すると反対し、中央集権を維持して石油資源の把握と収入の配分を統合するよう要求しています。中部と西部4つの県で人口の主体はスンニ派住民であります。
タラバニ大統領とハサニ議長は新憲法草案の可決で各派の合意を得て10月中旬の国民投票で採決されるよう希望しています。
24日、スンニ派の最大政党であるイラク・イスラム党をはじめ、イラクスンニ派国民会議、イスラム聖職者協会などのスンニ派団体は合同で連邦制の導入に反対し、新憲法草案を拒否すると発表しました。
スンニ派国民会議のドゥライミ議長は「22日暫定国民議会に提出した新憲法草案はシーア派とクルド人が合意したもので、非合法的である。イラクの資源は国民全体に所属し、北部と南部での連邦制導入は教派の利益に基づいたもので、国家の分裂を誘発することになる」と指摘し、連邦制に関する採決を延期し、12月に選出される国民議会に解決を任せると要求しました。
クルド人地方議会は24日新憲法草案を採決し、連邦制の原則を擁護しています。ムフティ議長は「新憲法草案はクルド人全体の希望に満足していないものの、政治プロセスの重要な一歩である」と評価しました。
イスラム教シーア派の内部でも意見対立が存在しています。イラク・イスラム革命評議会のハキム師は南部のシーア派居住地域における連邦制の実施を主張し、過激派のサドル師は連邦制と分裂に反対し、スンニ派に加担しています。24日、バグダッド、ナジャフなどでサドル師の支持者とイラク・イスラム革命評議会の武装勢力が衝突し、8人が死亡しました。
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