
日本語題:私たち
英語題:You and Me
【キャスト】
金雅琴(ジン・ヤーチン:おばあさん役)
中国国内では、非常に尊敬されている女優さん。ずっとドラマで活躍してきたのですが、今回は映画初出演でした。でも、長年ドラマで経験を積み重ねてきただけに、非常に洗練された演技が光っていました。84歳で東京国際映画祭の最優秀女優賞を受賞しました。歴代の受賞者では、最年長となります。
宮哲(ゴン・ジャー:女の子役)
【スタッフ】
馬儷文(マー・リーウェン)監督
新進気鋭の若手女性監督。2002年に監督デビュー後、話題作をいくつか発表しているため、ぜひ注目してほしい監督の一人です。

【ストーリー】
舞台は北京。
北京の街を歩くと、100年以上も前に建てられた古い家屋がけっこう残っています。中庭があって、東西南北を4つの長屋が囲んでいる独特な家・「四合院」です。
その四合院に、おばあさんがひとりで暮らしていました。
ある冬の日、ひとりの女子大生が、「下宿させてほしい」とおばあさんのもとへやって来ます。そんな出会いから、二人暮しが始まりました。おばあさんは口うるさい上に頑固な性格。一方の女の子も、わがままで自己主張が強いため、2人はくちげんかばかりします。ギクシャクした日々が続きます。
世代も価値観もまったく違う2人は、一体どうなっていくのでしょうか…

【レビュー】
この作品は昨年東京国際映画祭にも出品されているので、日本のみなさんにもおなじみかもしれません。東京国際映画祭では、主演女優・金雅琴さんが最優秀主演女優賞を獲得し、話題となりました。もう1人の主役・若い女性を演じるのは宮哲。実は、彼女はプロの女優ではなく、現役美大生だそうです。往年の実力派女優と現役美大生による共演はなかなか面白いキャスティング。
今回の作品は、主役の2人以外ほとんど登場人物がいませんし、場面転換もあまりありません。低予算で撮られた作品ですが、シンプルながら、その演出にはつい引き込まれてしまいます。監督の手腕が光っている作品といえます。映画を見終わった後には、なんだかほのぼのとした気分になりました。
「忘年交」という言葉を思い出しました。日本語で言えば、「忘年の友」、つまり、年齢の差を越えた友情のことを言う言葉です。この映画はまさに、この「忘年交」を描いた作品ではないかと思います。
なかなか渋いテーマだと思いきや、この脚本は馬儷文監督が自らの学生時代の体験をもとに書きおろしたものだそうです。実話をもとにしているから、人々の心を打つ作品に仕上がったわけです。
ちなみに、映画に使われている音楽も非常に話題になりました。各シーンで、登場人物の感情にぴったり合う美しい音楽が流れていました。早速調べてみると、この作品の音楽を手がけたのは、なんとあの竇唯でした。竇唯は中国のインディーズシーンで活躍しているミュージシャンで、フェイ・ウォンの元夫としても知られています。映画をご覧になる際は、竇唯の音楽にも耳を傾けてみてください。
(編集:コオリ・ミン)
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