
香港国際映画祭で人道に関する優秀映画賞受賞作・『蟻の兵隊』(池谷 薫監督、2006年)が7月22日から東京渋谷にある「シアター・イメージフォーラム」でロードショーを始めます。
戦争の人間性への深い傷をテーマとしたこのドキュメンタリーは、中国山西省で戦った一人の元日本軍兵士に焦点を当て、知られざる過去の歴史をさらけ出し、風化しつつある戦争の記憶を呼び覚まそうとしています。
主人公の奥村 和一 ( おくむら・ わいち ) (80歳)さんは、1945年に召集された「初年兵」として、中国山西省に駐屯。日本の敗戦後、奥村さんの部隊は上官により、国民党系軍閥に「転売」され、日本の敗戦後も、引き続き中国に残り、戦いを続けていました。
加害者と被害者でもある奥村さんは、中国の捕虜収容所での生活を終え、日本に引き上げました。その後、国からどのような目で見られ、彼はまたどのような行動を取ったでしょうか。そして、04年から3回にわたり山西省を訪れ、今年も訪問する予定を立てている奥村さんの今の心情とは?
監督の池谷薫さんはかつて、話題作の『延安の娘』(NHKドキュメンタリー)を世に送り出し、今回の映画は自主製作作品。監督の目撃した、静かに打ち切られた日本国を相手取った裁判が、映画製作のきっかけになったと言います。妻でもあるプロデューサーの権洋子さんは「一人でも多くの人、特に高校生に見ていただきたく、ロードショーでの上映に拘った」と語ってくれました。
昨年5月に、22日間の山西省での現地ロケの映像も含まれています。
『蟻の兵隊』のオフィシャル HP: http://www.arinoheitai.com/
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