外国からコーチを招くことや、選手が海外に渡って活躍することは、そう珍しいことではなくなっています。今回の北京五輪で、中国は外国人コーチを16カ国から招き、17種目で指導してもらっているということです。その中には、シンクロナイズドスイミングのヘッドコーチを務める日本の井村雅代コーチもいます。
フランス人のクリスチャン・バウアーさんはフェンシングのコーチです。バウアーさんはこれまで、イタリアとフランスのために、それぞれ世界チャンピオンを育て上げています。2年前に中国に赴任したとき、今回の男子個人サーブルで中国に24年ぶりに金メダルをもたらした仲満選手は、世界で32ー64位の間に数えられている程度でした。バウアーさんの指導を得て、2007年に一躍世界第3位の好成績を挙げたのです。さらに今回は金メダルを実現させたことで、バウアーさんは一夜にして英雄となったのです。
一方、バレーボール女子アメリカ代表監督の郎平(ラン・ピン)や、飛び込みのオーストラリア代表を率いる童輝(トン・フイ)など外国勢の中国人コーチ、外国籍を取得した元中国人選手が「海外兵団」(外国チームの一員として五輪に参加する中国出身者)と呼ばれ、注目されています。特に先日の中国・アメリカ女子バレーボールの試合で、中国は2-3でアメリカに敗れたことで、かつて中国では英雄だった郎平氏に対して、複雑な思いを抱く人が多かったようです。
国境を越えた純粋なスポーツの世界は、果たして実現できるのでしょうか。(文:王秀閣)
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