広東省の佛山市は、「武術の町」と称されています。佛山市武術協会副理事長の黄偉中さんは、3年前から仲間と共に、太極拳に基づく「推手」というごく簡単な健康法の普及に没頭しています。
「推手」とは、文字通り「手を推す」ことです。この健康法はペアでやります。向かい合って立つ二人は、レスリングをやるのと同じように、互いに腕を前に伸ばして組み、相手を動かそうとして相手の肩を推します。推された方は、腰を動かして避けます。足が動いた人は負けとなります。
「推手」の基本動作は非常に簡単で、1時間練習すれば大体習得できます。また、場所を取らない、機械を使わないことから、環境にも優しいとされています。
黄さんは以前サッカー選手でしたが、腰を痛めたことから太極拳を始めました。そして、この手軽で健康にいい「推手」の良さを人々にもっと知ってもらうため、ボランティアで指導しています。
佛山市には、「推手」を数十年続けてきた88歳のお婆さんがいますが、彼女の骨格年齢は40歳代の人と同じだということでよく知られています。
佛山市禅城センター病院の謝院長は長い間、腰椎椎間関節障害の治療法を研究しています。謝院長によれば、かつて筋肉労働者によく見られたこの病気は、最近では7割の患者がホワイトカラーのサラリーマンだということです。これはコンピューター、テレビ、車の運転のし過ぎ、運動不足などに起因するといわれます。「推手」の良さに気づいた謝院長は、黄さんを自分の病院に迎え、職員全員に習わせました。「肩、首、腰と手足を優しく動かすことによって、疲れが取れ、腰と背中の筋肉が鍛えられ、脊椎を適切に動かすこともできる。腰椎椎間関節障害の治療にも大変役立つ」と謝院長は話しています。
現在、黄さんと仲間たちは、ボランティアで各小中高校や大学などを回り、この素晴らしい「推手」を教えています。「人々の健康維持に役立て、そして環境に優しい理念を広げることを目標にしている」と黄さんは話しています。(「羊城晩報」より、編集・翻訳:閣)
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