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団地の整備
   2008-04-15 14:26:47    cri

   

 中国では都市部の開発に伴って、団地の整備が進んでいます。団地で管理に当たる専門の係員だけではなくて、住んでいる住民自身も、自らの地域を、住みよいものにしようとする意欲が強まっているといえます。そこで、今回は山東省の省都・済南と北京の団地の様子を見てみましょう。

 山東省の中心地・済南市の古い住宅地「青年公園団地」は、敷地面積が1平方キロメートルに及ばない、どちらかと言えば、規模の小さな団地です。全部で6千世帯が住んでいます。大部分のアパートは大変古く、面積も狭い上、ガスパイプが敷かれておらず、さらに、中国の北方地域の家屋には多く見られる全館スチーム暖房も入っていません。しかし、この団地が今やWHO・世界保健機関が初めて中国大陸で選んだ「安全な団地」となりました。

 安全の住宅団地に選ばれたのは偶然のことではありません。この青年公園団地は4年前から、住民委員会のスタッフ40人が中心となって、徹底した安全確保に取り組んできました。

 住民の中には、自らの便宜を図って、ガスボンベや、練炭(れんたん)を使うスタンドを一緒にして、狭い台所に置く家が多くありました。練炭のスタンドが燃焼する時に、もしガス漏れが起きれば、とんでもない結果を招きます。民家には、隠れた危険が数多く潜んでいます。それを一つ一つ解決していくことが、住民委員会の役割となったのです。

 まずは、委員自ら、安全についての訓練を受けます。そして、それぞれの家を訪ねて、安全知識を住民に知ってもらいます。責任者の董伝師さんの話です。

 「まずは、みんなに安全についての知識を持ってもらうことです。そして危険が発生したら、どう行動すればいいかを教えます。その後、実際の訓練を受けてもらうんです。これによって、慌てることなく、落ち着いて危険に対応できるようにします」

 学習を通じて、住民は安全知識をたくさん得て、それを暮らしの中で生かしていきます。ここの住民の楊さんはある日、台所から異臭がするのに気付きました。安全知識を思い出して、真っ先にガス漏れを疑い、ガス会社に連絡しました。そして、ガス会社の係員が駆けつけて、事故の発生を未然に防ぐことができたのです。

 また董桂蘭さんは、これまで火災の予防には無関心でしたが、住民委員会の委員に教えてもらって、多くの知識を身につけたということです。

 「委員会の方が消防知識を広めるため、家に三度も足を運んでくれました。シミュレーションも何度かしました。火災はどのように起きるのか、火災のときにどう避難すればよいのか、一つ一つ、教えてくれました」

 消防のほかに、子供たちの事故や家庭内暴力、交通事故などを防ぐことにも住民委員会は力を入れています。例えば、地域の幼稚園では建物の外側に二基の滑り台が据え付けられました。普段は子供たちの遊び道具となりますが、いざというときには、避難用の滑り台として利用されます。

 また環境整備の面でも高い評価を受けている団地を紹介しましょう。

 北京市の団地「興化西里」に住む王中平さんは、団地内の犬の糞を拾うボランティアを三年間続けています。王さんの話です。

 「三年間続きました。春夏秋冬を問わず、ほとんど毎日のように犬の糞を拾いに出ます。犬を飼う人が増えているでしょう、それなりに糞も増えていきます。住民が散歩に出かけるときに、不意に犬の糞を踏んでしまったら、とても気持ち悪いでしょう。うれしいことに、この活動を始めてから、自ら犬の糞を処理する飼い主が増えてきたんですよ。」

 王さんの言うように、犬をつれて散歩に出かけるときに、袋やシャベルを持参して、きちんと処理する人が増えました。清潔な環境づくりのために努力する王さんの姿を見ることで、住民の意識も変わってきたのでしょう。

 王さんのようにボランティアで団地を良くしようとする人はまだまだいます。北京の団地「西羊坊」の住民、李震さんは、あちこちに張られたビラを取り除くボランティアをしています。3年間で40万枚のビラを取り除いたということです。また、北京市宣武区に住む杜長安さんは毎日、団地の清掃をボランティアでしています。さらに天通院団地の杜景栄さんは毎日、団地を守る警備員さんに朝ごはんを送り、警備員から「杜母さん」と呼ばれています。

 北京市では先日、「魅力ある住宅団地ベストテン」というコンテストが行われました。これには1000ヶ所以上の団地が参加し、200万人余りの住民が投票しました。そのうちの一人、李さんの話です。

 「団地の魅力って、何でしょう。ここに住む住民の一人一人が気持ちよく住むことができることじゃないかと思います。魅力ある住宅団地を選ぶという活動に、私たちは喜んで参加します」

 住み心地のいい団地の整備は中国で最も関心を集めている課題の一つです。「コミュニティ」について研究する学者、北野さんは「公共の場が国のもので、個人とは関係ないという考えが、これまで一般の考えだったが、中国の住宅制度の改革によって、住宅が個人のものとなった。そして、住宅のあるコミュニティは、ここに住む住民すべての財産となった。そこで、この地域を大切にしようという気持ちが湧いてきた」と分析します。北野さんの話です。

 「例えば、新しいマンションを買いました。それが値打ちがあるかどうかは住宅そのものの質だけではなくて、周辺環境の要因が大きく影響します。そして家の玄関の内側だけでなく、団地全体の環境や近所との関係など、すべてが住み心地に関わってくるのです。地域全体が調和の取れたものとなれば、社会全体の調和も取れるようになるでしょう。ですから、地域の整備というのは非常に大切なのです。」

 「調和の取れた社会の構築」は今、中国の目指すところです。そのために調和のとれた団地の整備、そして地域全体を整備していくことが非常に重要なのです。

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