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出稼ぎ労働者の権益を守るある弁護士
   2007-05-15 16:53:56    cri

 弁護士をしている(イ冬)麗華さんにとって、今年のメーデーは特別な意義を持ちました。トウさんは、この日、北京にいる出稼ぎ労働者の権益を守る活動を評価されて、賞を受賞しました。この賞は中国人ならで誰もが手にしたい栄誉あるものです。

 <1 法律支援センターの音声>

 今、北京で働く出稼ぎ労働者ならば、みんな北京市出稼ぎ労働者法律支援センターの存在を知っています。ここは労働者たちに法律面でのアドバイスを行うほか、裁判のとき、無料で弁護士を提供します。センターは北京の中心部に位置し、ほとんど毎日、相談者が訪れます。彼らの多くは、職場で不平等の待遇を受け、法律的な解決策を求める人たちです。

 25歳の王松強さんは中国、河南省の農村部から5年前、北京にやってきて、フィルム工場で働き始めました。しかしこの5年間、雇用者側は彼と労働契約を結ばず、王さんは、医療保険や年金保険などに加入させてもらえませんでした。センターに来た王さんの話です。

 <2 王松強>

 「同僚の紹介で、相談に来ました。私はまずセンターにお願いして、保険の問題を解決したいと思っています。ここでは相談に乗ってくれるだけでなく、実際、訴訟を起こした時には、無料で弁護士をつけてくれるそうですから。」

 中国の都市部の経済発展により、豊かな収入を求めて、農村部の労働力が入ってくる、というのがここ最近の大きな流れです。これらの労働者が都市建設に大きな役割を果たしてきたのは事実ですが、同時に、臨時雇いの弱みから、当然得るべきはずの権利を侵害されるケースが増えています。加えて、彼らが都市部の生活に慣れていないこと、そして雇用における法律的知識が少ないなどの理由から、自らを守る術を持たないというのが実情です。そんな立場の弱い彼らを援助するのが、このセンターの役目です。

 センターの創設者は弁護士の(イ冬)さんです。今年36歳の(イ冬)さんは12年間、弁護士を勤めてきました。4年前、ある出来事をきっかけに、(イ冬)さんはこの法律支援を始めたそうです。彼の話を聞きましょう。

 <3 トウ麗華>

 「私の子供の頃からの友人が天津で仕事をしたとき、8000元の給料の未払いが起きました。しかし、雇用側といくら交渉しても、給料を支払ってくれません。絶望した2人から電話が来ました。私は、実は、幼友達を助けたくて、この取り組みを始めたのです。」

 (イ冬)さんは同僚の弁護士と、出稼ぎ労働者の権利を守るために必要なコストを調べて、その結果に驚きました。たとえば、出稼ぎ労働者が給与の未払い分1元あたり3元の経費が必要。つまり、その金額の3倍となるコストが必要となるのです。これでは、もし誰の助けもなければ、泣き寝入りする以外ありません。

 (イ冬)さんもまた農村育ち。その暮らしの大変さをしっている彼は、自分の専門知識を生かして、同じ農村からの労働者を支援することを決めました。そして、2005年9月、トウさんは今の法律支援センターを開設したのです。

 このセンターは主に二つのサービスを提供します。一つはカウンセリングを行なって、労働者にアドバイスをすること。そして、もう一つは訴訟の支援です。これらのサービスは全て無料です。(イ冬)さんの話です。

 <4 (イ冬)麗華>

 「センターでは、出稼ぎ労働者から料金を徴収しません。もし、仕事の関係でセンターの弁護士が労働者と一緒にタクシーに乗ったり、一緒に食事をした場合、交通費と食事代は全てセンターが負担します。またもし裁判で勝訴して、労働者が数十万元の賠償金を得たとしても、我々は料金を徴収することはありません。」

 このセンターは北京司法局の支援によって運営されています。センターは一つの案件を終えると、政府から手当てを受け取るという形です。

 中国では、弁護士は収入の高い職業です。しかし、(イ冬)さんと同僚たちの収入は北京市の普通のサラリーマンとほぼ同じです。高層ビジネスビルにある弁護士の事務所と比べて、センターにあるトウさんの部屋はごく質素です。そのことをうかがうと、トウさんは笑って、こう話しました。

 <5 (イ冬)麗華>

 「我々は公益事業ですから、豪華な事務所で見栄えをよくするようなお金はありません。それよりも、限られたお金を有効に使って、より多くの労働者の役に立ちたいと考えています。」

 (イ冬)さんの思いに応えて、センターに所属する弁護士は、今や十数人に上ります。ここでの仕事の条件は決してよくありません。週末も相談者のために調査を行なうなど、休む暇もないのです。所属弁護士の一人、星偉さんの話を聞きましょう。

 <6 星偉>

 「(イ冬)さんの考え方に共鳴して、ここにやって来ました。(イ冬)さんは、決して派手なタイプではありませんが、堅実な実務家で、活力にあふれる人です。私もそういう弁護士になりたいと思っています。もし、お金だけがほしいなら、ここに来ませんよ。」

 (イ冬)さんは今、中国弁護士協会法律支援委員会の責任者の一人になりました。ここ数年の政府による出稼ぎ労働者の権利保護への取り組みをトウさんは高く評価しています。しかし、まだまだ出稼ぎ労働者の地位は決して高くありません。(イ冬)さんらの仕事は、今後も決して簡単ではないのです。出稼ぎ労働者は故郷を離れ、家族のために、厳しい労働を必死に頑張っている人たちです。そんな彼らが少しでも安心して働き、暮らせる街を築き上げるため、(イ冬)さんらの仕事はこれからも続きます。(05/10)

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