2002年末、上海は2010年万博の開催権を得ました。万国博覧会が初めて発展途上国で開催されることになったわけです。計画では200の国や国際組織の出展を招くとしています。この目標を達成すれば、万博史上、最高の出展数ということになります。先月27日までに、合わせて125の国と国際組織の出展が決まりました。これだけ早くから、多くの反響があるとは、組織委員会も予想していませんでした。このことについて、上海万博事務協調局の周漢民副局長は、

　「これは中国の国際的影響力がますます高まっていることによるものだと考えています。今回の上海万博は"都市生活をもっとすばらしいものに"をテーマとしています。そこで、出展応募の段階から数多くの発展途上国に関心を向けています。中国では1億ドルの基金を設置しました。この基金は発展途上国の出展を支援します。世界には発展途上国が114カ国あります。中国はこれら国々に無料の展示ホールを提供する予定です。」

　また、2010年上海万博には7000万人が訪れると見込まれています。

　さらに施設の建設も順調に進められています。展示ホールや関連施設の建設プロジェクトは去年から始まり、2009年の下半期には竣工する予定です。

　上海万博の展示スペースは広さ450メートルの黄浦江の両岸にわたっており、敷地面積は5.28平方キロに及びます。この広大な敷地は、万博の運営を監督する国際展覧局の高い評価を受けています。

　会場となる敷地内にあった18000戸の住民と企業300社は、立ち退きが必要となります。この住民の立ち退き問題は、万博開催の準備における難問の一つです。しかし、今はすでに住民の全てが新しい住宅に引越ししました。以前は、居住面積が30平米程度だったのですが、倍以上の広さを持つ、また環境の整った住宅に移り住むことができたのです。このほか政府は住民に住宅手当を支給しています。

　そのうちの一人、50歳の張金柳さん一家は7人家族で、以前は、78平米の部屋に住んでいました。立ち退き後は、住宅を2棟、与えられ、合わせて170平米余りあります。張さんの話です。「もし、自分でお金を稼いでマンションを購入しようとすれば、少なくとも数十年はかかりますよ。政府の手当てのおかげで、あっという間にこんなにすばらしい団地に引越しできました。」

　企業の移転も大事な作業です。1913年創業の浦東鉄鋼企業は上海の有名企業の一つです。敷地面積は200ヘクタールあまりで、移転予定の企業の中では、最大の企業です。移転後は、上海市北側の宝山区で営業を再開します。引越しのため、会社の業務を一時停止しなければなりません。しかし従業員たちは、引越しがより大きな発展のチャンスをもたらすと考えています。

　工場の移転を担当する陳湘庭経理の話です。

　「長い目で見れば、この移転は、企業とわれわれ従業員にとって、大きな発展のチャンスなんですよ。これを機会に、世界の先端技術を導入することで、生産効率が高まるほか、環境にもやさしい生産ができるようになります。まもなく行う予定の技術革新を通して、製品のレベルも向上して、私達の商品の付加価値も高まります。」

　140年もの歴史を持つ江南船舶製造会社も移転が予定されています。移転後は、敷地面積が今の数倍に広がり、造船能力も大きく向上します。陳金海社長は会社の行く末に強い自信を持っています。

　「今は、地理的な要因から、工場の面積は少なく、製造している船舶の排水量も最大で8トンしかありません。でも移転先ならば、面積が広がるだけでなく、生産に必要な設備も非常に整っていると聞いています。生産がスタートしたら、きっと中国で最新の技術を持つ、最も競争力のある造船基地となれると信じています。」

　95％の企業はすでに移転を終えました。現在、引越し作業の真っ最中である企業は、年内には新しい場所で営業を開始する予定です。

　上海市の楊雄副市長は、上海万博の準備について、こう語っています。

　「万博の準備は順調に進んでいます。なんといっても国が事業を重視してくれているのと、国際社会が出展に非常に積極的なことが、その原動力となっています。そして、もちろん上海市民を始め、全国の国民の支援のおかげだと考えています。」

　上海万博の開幕まであと3年。内外の高い期待に応え、発展途上国初の万博をより素晴らしいものにしようと、上海市では、市民から政府まで、官民挙げて取り組んでいます。