朗読しているのは中国の深センで留学している韓国人留学生たちです。中国南部の都市、深センには数多くの外国人留学生がいます。今日はそんな留学生達の日常を覗いてみましょう。

　ウトサブさんはネパールからの留学生です。今、深セン大学で中国語を勉強しています。

　「深センに来て、まだわずか10ヶ月です。でも多くの中国人の友人ができました。彼らと付き合ううちに、中国人の情熱を感じました。まだ私は中国語が下手です。だから、生活や勉強の面で、困ったことがたくさんあります。でも、中国人の友人のおかげで、まるで家にいるように快適に中国生活を送っています。」

　中国南部の沿海都市である深セン市は中国で最も早く設置された経済特別区の一つです。ここ30年、経済の発展において、多くの成果を収めました。深センには、10の大学があります。そして、ここには40カ国からやってきた留学生500人が留学しています。数の上では、北京や上海などに遠く及びませんが、各大学は留学生に、よりよい学習環境を提供しようと、工夫を重ねています。

　例えば、ハルビン工業大学が深センで開講しているハルビン工業大学深セン大学院では、授業すべてのテキストに英語がついています。ある程度の語学力がついてくればともかく、学び始めた当初は慣れ親しんだ母国語による助けは必須です。また深セン大学では、通常の授業に加えて、留学生にもっと深く中国文化を理解してもらうため、漢字、中国画、中国の歌、太極拳などの授業も新設しました。これらを留学生は自由に選択できます。

　生活面においても、各大学は様々なサービスを提供しています。ハルビン工業大学深セン大学院の教授、梁秋茹の話を聞きましょう。

　「わが大学では留学生により快適な生活を送ってもらえるよう環境づくりをしています。留学生寮というと、あまりいいイメージがないかもしれませんが、我々の留学生寮の部屋は、冷蔵庫、クーラー、台所、トイレがそろっています。実際、中国人学生の寮よりずっといい環境になっているんですよ。」

　深センにいる各国の留学生たちは生活環境、宗教、生活習慣などがそれぞれ異なります。深センの各大学は他の国の文化、風習、宗教を尊重した上で、彼らが満足するようなサービスを提供できるよう工夫を重ねています。例えば、イスラム教の祝日には、各大学はイスラム諸国からの留学生を組織して、祝賀のイベントを行ないます。一方、中国の祝日にも、中国人教員は留学生と一緒にお祝いします。

　深センでＩＴ関連技術を勉強している留学生、パキスタン人のアンウォーさんはこう話しました。

　「担任の先生は、私達パキスタンからの留学生について、色々なことを考えてくれています。特に、風習の面でも尊重してくれます。毎年、私達の大切な祝日、小バイラム祭の日には、先生方がパーティーを開いて祝ってくれますし。あと、イスラム以外の学生のためにも、毎年クリスマスパーティーが開かれます。このほか、新入生歓迎会、卒業式、中秋節パーティー、春節パーティー、あとわが校独特のライチ祭りなんていうのもあるんですよ。来た当初こそ、少し故郷が恋しくなったこともありますが、ここでの生活は充実していて、今はホームシックにはなりません。」

　しかし、そうはいっても異国での生活は留学生にとって、困難なことが多くあります。時には、プライベートのトラブルなどに対応しなければならないときもあるそうです。深セン大学の留学生担当、陳燕飛先生の話です。

　「あるパキスタン人留学生の奥さんが突然、入院したのです。そのときは、ちょうど冬休みで、私も出勤していませんでした。でも、このことを聞いたら、すぐ私は、食べ物を用意して、病院まで見舞いにいきました。異国で病院に入るというのは、不安なものです。私が顔を見せることで、少しでも奥さんが楽になればと思ってしたことなんですが、この留学生はとても感動してくれました。わざわざ病院まで見舞ってくれるとは思わなかったようです。」

　今年のお正月、深セン大学の留学生部は新年会を開きました。この会は留学生たちにとって、互いに交流する絶好の機会となりました。新年会の最後に留学生たちは、一緒に中国の歌「朋友~友達」を合唱しました。この歌は中国人の先生と学生たちに対する感謝の気持ちをこめたものです。

　外国での生活は時には不安になったり、寂しい思いをしたりするものです。しかし、そんな時に国籍を超えた友人として、中国人の先生や学生に手を差し伸べてもらえば、彼らの不安は、中国生活の楽しみへと変わるでしょう。そして、ここで結び合った友情は、何年後、何十年後のいつの日か、今度は、国と国を結ぶ大切な架け橋となるに違いありません。