中国では、旧暦の12月のことを臘月(ろうげつ)といいます。臘八節は名前どおりに旧暦の12月8日のことです。「臘七臘八凍掉下巴(旧暦の12月7日8日になると、あごがはずれるほど寒い)」という言葉があるように、一年で最も寒い時期とされていて、旧正月を前に最後の節目の行事です。
臘八節について、いろいろ説がありますが、最も広く知られているのは、昔、ある怠け者がいて、幼い頃から親に甘やかされ、裕福な暮らしをしてきました。その後、彼は同じような怠け者の女性と結婚したそうです。親はとても心配で、死ぬ前に彼らに「これから勤勉に働きなさい」と言い残しましたが、彼らは親の話も聞かず、仕事もしませんでした。次第に家の食べ物も底をつき、暮れも押し迫った12月8日になって、米も薪もなくなりました。仕方がなく、怠け者の夫婦は床の隙間の中から落ちていた米や豆などを拾い集めました。かろうじて拾ったものをおかゆにして、しのいだそうです。辛い12月8日を過ごした二人は、やっと懲りて、真面目に働くようになりました。この言い伝えから、毎年12月8日になると穀物の混ざったおかゆを食べるようになりました。「臘八粥」という風習もここから来たのでしょう。
このほかにも、「臘八粥」はもともと仏教にまつわる物語から来たものだそうです。悟りを開く前の過酷な旅で、疲れと飢えで倒れそうになった仏教の開祖:釈迦牟尼(シャカムニ)に、羊飼いが残飯(ざんぱん)の粥に山で摘んできた木の実を入れ差し出しました。それを食べた釈迦牟尼は元気を取り戻し、沐浴(もくよく)の後、菩提樹(ぼだいじゅ)の下で悟りを開いたとも言われています。
臘八節の風習として、必ず臘八粥を食べます。臘八節前にはスーパーなどに臘八専用コーナーもできます。お粥の材料は主に落花生、クコの実、なつめ、もち米、干し葡萄、蓮の実、百合、緑豆、インゲン豆に似た花芸豆、くるみ、黒米、タイ米、紅香米などがあります。自分の好みでブレンドするほか、最近はスーパーが事前にブレンドしてある臘八米を売り出します。値段も安く、500グラム5元から10元ほどです。お粥の作り方も簡単で、前もって大豆や緑豆などの豆類を水に一晩漬けて柔らかくしておきます。その後、米といっしょに煮ます。たくさんの材料を入れるのが臘八粥の特徴です。
臘八粥このほかに、北京の人は臘八醋(臘八の酢)をつけたり、臘八蒜(臘八のニンニク)を食べたりする習慣もあります。作り方も簡単ですよ。お酢の中にニンニクを漬ければいいだけですが、出来上がりまでは20日間ほどかかります。というわけで、臘八蒜と臘八醋は必ず旧暦12月8日に作ります。旧暦の大晦日の夜に、臘八醋で餃子を食べ、臘八蒜は漬物として一緒に食べるからです。出来上がった臘八蒜は緑になり、とても美味しそうですよ。
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