糖葫芦(タンフールー)とは、「サンザシ飴」のことで、北京をはじめとする中国北部の伝統的なお菓子です。昔から、北京の冬の風物詩とされてきました。日本でいえば、「リンゴ飴」によく似た製法です。
糖葫芦の作り方はとても簡単です。まず、砂糖を糊状になるまで溶かします。
そして串刺しにしたサンザシに、その砂糖をからめます。冬の寒い時期だから、すぐに砂糖が固まります。カチカチになった砂糖は氷のようにも見えるので「氷糖葫芦」と呼ぶ人もいます。
糖葫芦を売る店や屋台、それに自転車の荷台に糖葫芦を載せて売りに来る人を街中でよく見かけます。ほとんどの人は、あらかじめ作ってあるものを買っていきますが、注文をしてその場で作ってもらい、出来たてを食べる「こだわりのお客さん」もいます。値段はとても安く、1本1.5元から3元ぐらい(日本円で20円ー40円くらい)です。
中の具は、サンザシの他にも、いろいろな種類があります。昔から定番はサンザシですが、山芋もよく使われます。最近は、新しい種類も数多く登場して、いちご・ミカン・バナナ・ぶどう・キウイ・プチトマトなどもあります。また、サンザシの中にアンコを入れたり、サンザシの間にクルミを挟んだり、工夫を凝らしている店も多いです。
すっぱいサンザシと砂糖は、とても相性がいいので、この二つを一緒に食べると、何とも心地よい風味を醸し出します。
糖葫芦の始まりは宋の時代に遡ります。皇帝の妃がひどい拒食症にかかり、どんな薬を飲んでも治りませんでした。仕方なく、全国各地から効き目のありそうな薬を捜すことになりました。すると、ある漢方医から「食事の前に5個から10個ぐらいのサンザシを砂糖で煮込んでから食べてみなさい」という処方が寄せられてきました。漢方医の言ったとおりにやってみると、半月後、妃の拒食症はすっかり治りました。サンザシが食欲を増進する働きがあることが分かり、この食べ方が世間に広がっていきました。清の時代になると、食べやすいようにサンザシを串に刺して売るようになり、こうして現在のような糖葫芦が生まれたのです。(編集:コオリ・ミン)
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