北京では中国各地や世界各国の料理を楽しむことができますが、実は一風変った少数民族のレストランもたくさんあります。今回は、「苗族人家(みゃおぞくじんか)」というミャオ族料理の店はを紹介したいと思います。
「苗族人家(みゃおぞくじんか)」は、北京の西側にありますが、店のオーナーはミャオ族の人で、店員もみんなふるさとの貴州から来てもらったそうで、店の建物自体もとても民族風があります。店の表では、民族衣装を着た2人のミャオ族少女は、客が来るとミャオ族の歌を歌ってくれ、道行く人々の関心を集めています。実は、2人のミャオ族少女には、客に「欄門酒」という酒を勧める役目もあります。ミャオ族の「欄門酒」は、客を迎える時のマナーとしてとても有名です。
「欄門酒」について、ミャオ族少女の扁ちゃんにうかがってみると、「欄門酒」とは、ミャオ族の風習で、いろいろなこだわりがあるそうです。ミャオ族の村では必ず牛の角に入れて飲みます。「欄門酒」を飲むときは、後ろ手を組んで、軽く一口飲めばいいです。その場合は飲み干さなくてもいいですが、もし手が牛の角に触ったら、罰としてその酒を全部飲み干さなければなりません。それは、「欄門酒」を飲むときのルールだということです。
「欄門酒」をクリアしたら、店に入ることができます。中には、15テーブルほどあり、数十人納まるような空間となっており、心地よい音が聞こえてきました。流れている音はミャオ族の伝統舞踊・板トウ舞(腰掛踊り)の音です。民族衣装を着た店員とお客さんが輪になって、小さな腰掛を両手に持って踊っている風景がうかがえます。
「欄門酒」と同じように、この腰掛踊りもミャオ族特有の風習で、この店では、余興の出し物として毎晩7時半ごろから踊りが始まります。お客さんもいっしょに踊ることができるそうです。
早速ここのメニューを見ると、料理の名前だけでも見たことのないものがいっぱいあります。その中、一番人気があるのは、貴州省の名物料理でもある酸湯魚という魚料理です。見た目では、話題の水煮魚に似ていますが、味のほうはピリ辛ではなく、名前どおりに酸っぱい感じです。コックの唐さんは「鯉を使った酸湯魚はミャオ族のイチオシ料理だよ。魚を酸湯(酸っぱいスープ)の中に時間をかけて煮込むのが基本的な作り方だが、酸湯の調理には、ミャオ族の代々伝わってきた特別醸造法を使った。酸湯は、主な原料がトマトで、食欲を刺激し、渇きを癒すような役割があって、ダイエット効果もいい」と説明してくれました。
この店は周り近所でも評判のいい店で、常連のお客さんも多いです。お客さんの李さんは「とても居心地のいい店。サービスも行き届いていて、特に、民俗舞踊が気に入って、さっき自分も踊ってみた。楽しかった。都会に住む私にとってこのようなチャンスはなかなかないし、ミャオ族の風習などについてもいろいろと知ることができた」と話してくれました。
ちなみに「苗族人家」では、一人あたりの平均消費は50元前後で、腰掛踊りに参加したお客さんにはプレゼントとして、刺繍の巾着がつきます。北京にいらっしゃったら、ぜひ、このミャオ族料理を楽しんでみてください。
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