アフガニスタンの戦争が終結して4年。荒廃した国土の復旧のため、アフガン政府と人民に対し、国際社会は、人とモノ、そして資金の提供等を通じて、様々な支援を行なっています。
その支援の一つ、アフガンの平和的復興を治安面からサポートする国連の文民警察官が重要な役割を果たしています。中でも中国から派遣された警察官が地元住民に高く評価されています。カブール人のエンジニア、アブトハーディさんは彼らのことをこういいます。
「国連の文民警察官は平和を守るためにアフガンにきてくれました。安全が確保されてこそ、復興作業は順調に行えます。中でも、中国から派遣されている警察官はとてもすばらしいですね。彼らは、重要な役割を果たしています」
中国が派遣した文民警察官の一人、丘崇穏さんは、このほど、カブールで北京放送記者の取材に答えました。
30歳を過ぎたばかりの丘さんは、背が高くないですが、がっちりしていて、警察官の制服がとても似合う堂々さを感じます。
丘さんは、2005年5月中国公安省に派遣されて、アフガンにやって来ました。初めて、アフガンの地を見たときの印象を彼はこう語っています。
「飛行機から見下ろすと、一面が荒れ果てていました。カブールは廃墟だけで、時間が何世紀もさかのぼったような感じです。これがアフガンを訪れたときの第一印象でした」
以前、戦後の荒れ果てた街を見たことがあったので、任務の厳しさは、ある程度覚悟していました。でもアフガンの荒れ果てようは想像を絶したのです。
国連の文民警察官として、丘さんの仕事は、アフガン警察の再建と改革を手伝うことです。戦争ですべてが破壊されたアフガンにとって、治安の回復がまず何よりも重要です。丘さんの話です。
「警察事務の改革は政治改革の一部なのです。ほかの復旧作業と同じく、ゼロから始めるしかありません。数十年の戦争を経て、アフガンのあらゆるもの全てが破壊されました。建物だけではありません。司法体系も、治安維持のシステムも崩れてしまった・・だから再建というより、一から作り直すのです」
アフガンの復興作業において、警察改革は一番の急務とされます。組織を整え、職員のレベルを一定レベルに保ち、効率的な警察機構を作り上げる…そのためにはまず丘さんは現状の把握が必要と考えました。
丘さんは、いまだテロ攻撃にさらされる危険があるにもかかわらず、担当するアフガン東部の4つの州を視察して回りました。十数か所に及ぶ警察署、派出所を訪ねて、現地の生の声を聞き、生きた情報を手に入れ、それを元に、アフガン政府や国連の関連機構に報告書を提出しました。そして、同時に警察官の養成も進めていきました。
そして、丘さんを始めとする国連文民警察の支援の下、警察の整備が徐々に進んでいます。
丘さんの話です。
「国連とその他の国々が支援して、警察改革を行なったことで、アフガンの改革は大きな成果を挙げています。アフガン警察の人数は、いまや5万4000人に達していて、一つの警察部隊が成立しています。さらに、警察官は今、それぞれ各種の養成を受けています。また組織整備も進んでいます。」
アフガンでは2005年、議会選挙が行なわれました。選挙期間中、警察部隊は重要な役割を果たしました。丘さんら国連の文民警察と地元警察、それに行政部門、軍隊などが、協力して、合同機関を設け、選挙を監視しました。時折、突発的な出来事が起きましたが、それらを適切に処理できたことで、選挙は無事、行われました。
中国から派遣された国連の文民警察官として、丘さんの仕事は、アフガン政府や国連から高い評価を受けました。そして、2005年10月、丘さんは「国連平和勲章」を授与されました。
この勲章を「誇りに思う」と語る丘さん。でも、もっと嬉しいことがあるといいます。それは、自らの仕事に対し、アフガン人民が尊敬の思いをもってくれたこと、そしてそれによって、中国とアフガン両国人民の友好につながったことだそうです。
「アフガンは中国の隣国です。だから、アフガンの復興支援は、中国のためでもあるのです。そしてもちろん、この地域やアフガンのためでもあります。アフガン人民は私たち中国人に対して友好的です。制服をきた私に出会うと、『中国警察!』と呼びかけてくれます。その温かさがよく分かります。」
中国は隣国として、アフガンの平和復興における重要な役割を果たしています。アフガン駐在中国大使の劉健氏はそれについて、こう語ります。
「中国は多くのチャンネルを通じて、復興作業を手伝っています。中でも中国はモノ・金だけでなく、人、つまり血で支援を行っているのです。中国の援助は長期的で、私心のないもので、何の条件も付け加えず、援助してくれている、アフガン人民の見方です。彼らはこう言います。『われわれは、中国のような隣人があることを誇りに思う』」
そしてこの活動を支えているのが、丘さんら、自ら汗を流し、そして時には命をかけて、「海外援助」を行なう人たちです。大切な隣国の一日も早い復旧に向け、彼らの活動は続きます。
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