こうした面を改善するため、中国政府は、貧困地区の医療レベルを高めることに努めています。このほど、中国国際放送局の記者は、中国西南部にある貴州省の盤県を訪れ、そこの医療衛生事情を取材しました。

　貴州省の盤県は、中国政府が貧困支援政策を重点的に行うおよそ600の県のうちの一つ、つまり、中国でもっとも貧しいところの一つです。盤県の一人当たりのGDP・国内総生産はおよそ500ドルで、中国の平均水準の半分にしかなりません。住民の多くは、お金がないので、病気にかかっても、診察を受けません。それを解決するため、地元政府は、2005年から、農村における新たな医療制度の実施を始めました。この制度について、盤県の県長代行の羅資湘さんは、次のように紹介しました。

　「中国政府は、貧困地区の住民が、医療費による経済的負担を減らせるよう、農村における新たな共同医療制度の実施を決めました。そして、盤県を、この新たな医療制度のテスト県に指定しました。盤県の住民は、これを歓迎します。」

　この、農村における新たな共同医療制度では、毎年、中央政府と地元政府がそれぞれ、この医療制度に登録した人の数に合わせて、一人当たり20元の基準で資金を提供します。また、登録した本人も、10元を出します。このようにして集められた資金は、共同医療制度に登録した人がみんなで使う基金になり、これで、医療費の一部を立て替えることができます。これまでに、盤県の農民の78.5%がこの共同医療制度に登録しました。

　この新たな医療制度の実施により、盤県の住民の負担はある程度軽減されましたが、地元の病院の医療設備が不足し、医師の技術が遅れているなどの問題が依然として残っています。盤県馬場郷診療所の看護師・張ア玲(アは、女へんに亜)さんは、「私たちが治療できるのは、風邪などの軽い病気だけだ。重い病気にかかった患者が来たら、県立の病院にすすめる。私たちは、自分の医療技術を高めるため、大きな病院で研修を受けたい」と語っています。

　地元で効果的な治療を受けられないため、住民たちは、重い病気にかかったら、県立の病院にいかなければなりません。そうすると、交通費、食事代、宿泊費などにお金がかかります。

　盤県政府は、この問題を解決するため、一連の措置を取りました。県長代行の羅資湘さんによりますと、まず、人材を配置する上で、卒業したばかりの大学生は県や村の診療所に就職すること、県立病院の医師が各地の診療所で短期的に仕事をすることを奨励します。また、国家の優遇政策にしたがって、国債で集めた資金を、県や村の医療衛生事業に投入します。そして、農村地区の医療事業従事者を対象に、医学の専門講座を開き、その収入を確保するということです。

　農村で新たな医療制度が実施され、各地方政府の政策がとられることによって、農村の医療衛生はこれから、ますます改善されることになるでしょう。