テレビのデジタル放送とは、テレビ番組の収録、編集、放送の全過程でデジタル技術が用いられるもので、現在、広く利用されているアナログ放送と比べて、高画質、高音質、大量の情報、安定した送受信などの特長を持っています。また、アナログ放送では、利用者が、番組を受動的に視聴するしかできませんが、デジタル放送となると、自分の好きな番組を予約することができ、双方向の放送ができます。そして、デジタルテレビは、コンピュータの一部の機能を持っているので、それを利用すれば、暮らしに役立つ情報サービスも楽しめます。

　中国東部の都市・杭州に住んでいる王勤仆さんは、今年77歳になりましたが、彼と奥さんにとって、テレビが日常生活で、最も親しい友達となっています。王さんは、1年前から、デジタル放送を利用し始めました。王さんによりますと、デジタル放送を通じて、アナログ放送よりもっと充実した番組も楽しめるし、自分の好きな図書を買うこともできるそうです。王さんは、次のように語ってくれました。

　「デジタルテレビで、先週のベストセラーを見て、気に入った本があれば、その場で買うことができます。本当に便利ですね。」

　現在、中国では、テレビ番組の録画や録音、制作、放送などでデジタル化がほぼ実現になりましたが、受信側、つまり利用者の端末だけがアナログ方式になっています。業界関係者によりますと、利用者が、アナログ方式のテレビでデジタル放送を受信できるよう、そのテレビに専用端末・デジタルセットトップボックスを設置することが広く使われています。

　中国政府によりますと、中国は、2015年までに、アナログ放送を終了し、テレビ放送のデジタル化を実現させるということです。これについて、中国国家ラジオ・映画・テレビ総局科学技術局の王聯副局長は、「われわれは、テレビ放送のデジタル化を、東部地区、中部地区、西部地区の3つの区域で、4つの段階に分けて順番に行い、2015年までに完成させることを計画した」と述べました。

　現在、中国では、デジタル放送の利用者が400万人を超えました。利用者たちは、普通のアナログ方式のテレビで、DVDと同じ画質の映像、映画館の効果を持つ音声を楽しむほか、ビジネス、文化教育、交通などの情報とサービスを利用しています。

　関係筋によりますと、テレビが、中国でもっとも普及率の高い情報端末となっています。都市部では、30％の家庭は2台目のカラーテレビを持っており、農村部でも普及率が75％だということです。中国国家ラジオ・映画・テレビ総局によりますと、現在、デジタル放送の普及は、中部と西部地区、発展している地区へ実施しています。今後、デジタル放送を楽しむ人はますます多くなるに違いありません。