脳卒中は、脳血管の障害により、脳やからだの機能が失われる病気です。関係資料によりますと、中国では、毎年、脳卒中にかかる人の数は150万人で、そのうちの半分が亡くなります。死ななくても、その大部分は体の機能が衰えたりしてしまいます。したがって、脳卒中は、われわれの健康と命をひどく脅かす病気と言えるでしょう。
脳卒中のタイプはいくつかありますが、代表的なのは、次の2つです。その一つは、脳に血液が少量しか送れない虚血性脳卒中です。これは、頸動脈の硬化により血管が狭くなるという狭窄(きょうさく)症が原因となっています。頸動脈が狭くなるなどで脳血管が詰まってしまい、脳卒中にかかったケースは、虚血性脳卒中の60%を占めています。
もう一つ、出血性脳卒中です。これは、高血圧などにより、脳の中の毛細血管に動脈瘤ができ、破れて出血することが原因となる場合が多いです。
脳卒中のタイプによって原因が違いますが、それらの原因には、共通したものがあります。まず、年齢と性別が関連してます。普通、脳卒中の罹患率は、男女とも年齢が上がるにつれて高くなり、とりわけ55歳以上からは急激に上昇します。また、男性の罹患率は、女性より50%高くなっています。また、家系に脳卒中にかかった人がいると、その家族が脳卒中になる可能性も大きくなります。そして、高血圧、糖尿病、心臓病、高脂血症、肥満などと、喫煙、大量飲酒などの生活習慣病が、脳卒中になり得る原因です。
脳卒中には、発作の前触れがあります。特に、脳卒中の罹患率が高い人にとって、それに気づくことが大事です。これについて、中国人民解放軍301病院脳神経外科の李宝民主任は、「一時的な半身の麻痺や手足のしびれ、瞬間的なめまいがあったり、言葉が出なくなったりといった前触れが起きれば、気をつける必要がある」と述べました。
さて、家族やまわりの人に脳卒中で倒れる人がいたら、どうすればいいのでしょうか。まず、患者の衣服をゆるめて、救急車を呼びます。もし、患者が、痙攣(けいれん)や、ひきつけを起こしたら、からだを傷つけたり、舌を噛んだりすることが多いので、周りの人は、患者の手足を押さえ、口に何かを噛ます必要があります。また、発作が起きれば、吐くことも伴うので、患者を横向きに寝かせて息ができるようにしてあげます。そして、患者の吐いたものや、入れ歯などをすぐに取り出す必要があります。
脳卒中の治療法として、血管内手術は比較的に新しい治療法です。大腿(だいたい)動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、病変部に至るまで差し込みます。その中を通して、いろいろな道具や材料を使って治療します。大きな動脈の直径が15ミリあるのに対し、普通のカテーテルは直径1ミリ足らずで柔らかく、血管の内側には痛みを感じる感覚神経もないので、患者に優しい治療法です。
この治療法による手術を受けた脳卒中の患者の王欽美さんは、自らの体験を語ってくれました。王さんは、「血管内手術を受けてから、血液の通りがよくなった。頭痛や、意識がぼんやりする感じなどは、ただちに改善された」と述べました。
この治療法を受けた患者は、手術を受けて24時間後に、自力で立って歩くことができます。また、入院時間も短くなり、王欽美さんによりますと、入院して4日後に退院したそうです。今後、この治療法は、より多くの脳卒中の患者を救うことになるのでしょう。
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