
秦の始皇帝の兵馬俑と言えば、知らない人は少ないでしょう。中国の歴史での最初の皇帝、秦の始皇帝の副葬品として、兵馬俑は、「世界第8の奇跡」と絶賛されています。ここ数年、兵馬俑は、多くの国で展示され、中国が各国との文化交流の使者となりました。しかし、これら2000年あまり地下に埋まっていた兵馬俑は、出土して空気に触れると、数分間で鮮やかな色を失ってしまいます。このため、中国の文化財保護関係者は、兵馬俑の修復とその色彩保護に、尽力してきました。
中国陝西省の西安市郊外にある秦の始皇帝の地下宮殿に入ると、数千の、馬や武士と等身大に彫刻された陶器がずらりと並んでいます。その武士たちは、それぞれ服装や表情が異なります。それらが、兵馬俑です。
秦の始皇帝兵馬俑博物館の周鉄研究員によりますと、これらの兵馬俑は、出土したとき、髪、肌、よろい、武器、それに服装などは、鮮やかな色彩を持っていました。しかし、空気に触れると、酸化して、数分間でその色が褪せてしまいました。
兵馬俑の色彩を保つため、秦の始皇帝兵馬俑博物館は、専門チームを設け、科学実験を行いました。また、外国の関連機関や専門家と積極的に協力してきました。
そうした効果があって、中国の科学者たちは、秦の始皇帝兵馬俑の色彩を保護することに、効果的な2つの方法を開発しました。

その一つ、兵馬俑が出土してから4分30秒以内に、その表面の泥を落とします。そして、その兵馬俑を、温度と湿度が厳しく管理された室内に移し、小さなメスと毛筆で、兵馬俑の表面にあるほこりを取り除きます。この方法で、一つの兵馬俑を処理するには、1年がかかります。
もう一つ、専門家が研究した結果は、秦の時代、兵馬俑職人は、色づけするため、陶器と絵の具の間に粘着剤を入れました。しかし、2000年あまり経て、その粘着剤が落ちて、兵馬俑の色彩が失われました。こうした面を改善するため、内外の考古学者は、粘着剤を新しく作り、さらに、出力の高いレーザー光線で、粘着剤を兵馬俑に固定します。
この方法により修復された兵馬俑は、数千年経っても、色褪せはまったくありませんでした。しかし、これで、兵馬俑の保護が終わることにはなりません。これについて、秦の始皇帝兵馬俑博物館の雷玉平副館長は、「われわれの最終的な目的は、兵馬俑の色彩保護そのものだけではない。兵馬俑を、先進的な陳列手段で国内外の人に展示することにより、中国の伝統文化を世界に紹介することを目指している」としています。
資料によりますと、秦の始皇帝兵馬俑博物館が開館して以来、内外から観光客5500万人あまりが訪れました。このうち、およそ550万人は海外からの観光客です。また、これまで、外国の首脳や政府高官140人も訪れました。このほど、兵馬俑を見物したフランスの観光客ジーン・アンドラウクスさんは、自分の感想を語っています。
「世界で最も大きく、もっとも完全な形で保存された皇帝の陵墓、秦の始皇帝兵馬俑を見学して、中国が、歴史的文化遺跡の保護で大きく力を入れていることが分かりました。」
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