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模範労働者:祝志勝さん
   2006-05-25 14:24:33    cri

 去る2006年5月1日、今年のメーデーは中国東部、杭州に住む祝志勝さんにとって忘れられない日となりました。なぜなら、この日、祝さんは中国の労働者の誰もが憧れる、労働者としての最高の栄誉である「5・1労働表彰メダル」を贈られたからです。

 今年37歳の祝志勝さんは杭州鉄鋼グループ製鋼工場の労働者です。杭州鉄鋼グループは50年近くの歴史を持ち、中国大手企業トップ100にランキングされています。

 祝さんは黒く焼けた肌に大きな目が輝き、話をするときはいつも笑みを浮かべています。

 製鋼工場に入ったのは10数年前でした。ちょうど高校を卒業したてで、実家の農業を手伝っていた祝さんは、工場が労働者を募集していることを知りました。祝さんは迷わず応募し、採用され、工場の溶鉱炉工になりました。

 当時、製鋼とは何なのかさえ、全く知らなかったという祝さん。初めて溶鉱炉の前に立った時のことを今でもはっきりと憶えています。溶融し煮えたぎった金属が溶鉱炉の中で真っ赤に光り、時折、溶鉱炉の中から飛び出してきます。

 「当時は怖かったですね。真っ赤な炎が舞い上がって、近くにいると強烈に熱くてね。もちろん、こんな風景はそれまで見たことはなかったですから。」

 溶鉱炉工は、日本で言えば3K。「きつくて汚い」誰もがやりたがらない仕事です。ほとんどの人々は仕事に付いて間もなく、やめてしまいます。しかし、生活条件がそれほどよくなかった農村で生まれ育ち、辛さに耐えることを知っていた祝さんは、そんな苦しさなど、ものともしませんでした。

 最初は溶鉱炉工のアシスタントからスタート。次第に技術を覚えて正式の製鋼労働者となりました。溶鉱炉工の修行はまず溶鉱炉の「火を見る」技を勉強します。炉内の火の様子を一目見てすぐに炉の状況を把握する、一種のカンのようなものを養う必要があるわけです。これには祝さんは少なからず苦労しました。

 1700度もある溶鉱炉のそばでは、誰もが数分間もいれば汗びっしょりになります。しかし、金属の溶融の過程を細かく把握しようと、祝さんは流れる汗に構うことなく、溶鉱炉の中の炎の変化を一生懸命見つめ続け、炉の前で数時間が過ごすこともあったそうです。こうして、半年後、祝さんは火を見る技を見事身につけました。

 しかし、祝さんはもう一つ満足していないことがありました。労働者は体力と経験だけでは不十分。これからは「知識」を身に付けねばならないと考えたのです。

 「工場の労働者は一定の知識を持たなければなりません。それはビジネスや管理の面の知識です。これは良い労働者になるには欠かせないものだと思います。」

 祝さんは単なる溶鉱炉工だけでは満足しません。製鋼の関連知識や、理論をも勉強しました。多くの専門書を買いこんで毎日仕事から帰ると、勉強に没頭していました。仕事以外の時間はほとんど勉強に使うという祝さん。遊ぶ時間などなく、杭州の有名な景勝地・西湖には一度も足を運んだことがないそうです。

 祝さんは仕事の中で、時として、出来上がった鉄鋼に切れ目が入ったり、また溶融した鉄鋼がうまく流れないため、不合格の製品が出ることに気づきました。その原因はどこにあるのか。原因の解明に取り組みました。

 本の中でその回答を求め、また毎回毎回の仕事でデータを集めて比較を行ないます。ベテランの溶鉱炉工に分からないことを聞くのも、祝さんの勉強方法の一つです。その結果、この工場のベテラン労働者で、祝さんのことを知らない人が誰一人いなくなったとか。転炉作業場の駱さんは、祝さんによく質問される一人です。駱さんはこのように話しました。

 「祝さんはいつも仕事が終わってから、私のところに来ておしゃべりをします。何か問題があったら、私に相談に来ます。酸素の除去で、どこがうまくいかなかったとか、どうやって解決したのかとか・・よくこのような話をしにきます。」

 祝さんは工夫に工夫を重ねた結果、切れ目をほかの人より減らし、鉄鋼の流動をもいくらか解決できたそうです。現在、祝さんが働いている杭州鉄鋼グループの製鋼工場で使っている多くの進んだ作業法は、祝さんのオリジナルなものだそうです。そこで、仲間たちはこれらの作業に祝さんの名前を付けて呼んでいます。

 祝さんが編み出した作業法によって、製鋼の純度が大幅に改善され、作業時間も短縮されました。さらに月間生産量も2000トン増え、コストは80万元節約でき、きわめて高い効果が得られたそうです。

 この実績が認められ、祝さんは6年前、「製鋼A班」という製造班の班長に抜擢されました。この班は工場の中でどちらかというと業績が悪いほうでした。祝さんは班長に就任してから、従業員の管理を強める一方で、それぞれの積極性を生かすことを第一に考えました。かつてA班で働いていた羅継来さんは次のように語ります。

 「祝さんは自ら模範となって、従業員を率いて、それぞれの積極性、意気込みを生かしてくれます。祝さんなら、その後ろをついていく気になるし、彼のいうことなら、みんな納得できます」

 A班の業績を向上させるため、祝さんは仕事の傍ら、管理に関する知識を学ぶことにしました。3年前、自費で中国のある大学の行政管理学部の夜間部に入学したのです。

 大学で学んだことを実際の仕事に生かし、様々な工夫を凝らした結果、そのA班は今では工場全体の12の班の中でトップの業績をあげるようになりました。

 優れた技術を持ち、加えて管理の面でも実績を上げたことで、祝さんに対し、さまざまな表彰が行われました。工場では優秀労働者に選ばれたほか、杭州市で「優秀青年ベストテン」に選ばれたのです。

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