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李家が社会保障を語る
   2006-04-13 14:04:43    cri

 「社会保障制度」は、低収入者、失業者、身体障害者、退職者などを対象にした生活保障システムです。今週は、このうち、会社を退職したあとの「老後」の生活に社会保障制度がどう生かされているかを見ていきましょう。日本で言えば、「老齢年金」にあたるものです。

 北京の南西部にある20年以上の歴史を持つ古い住宅団地、キンショウ小区に住む三世代の家族、李家を訪れました。

 おじいさんの李家キさんは定年退職して22年になります。朝、公園へ散歩に行き、近所の知り合いとおしゃべりを楽しむのが李おじいさんの日課。そのときは老後の年金についての話がよく話題に上ります。

 「定年退職は22年前でしたから、その頃の年金は月に75元でした。今の基準からすれば低いですが、当時はむしろ高い方でした。そして、国民全体の収入レベルのアップにともなって退職金も少しずつ上がり、現在は1000元余りです。生活していくには、これで十分ですけど、もうちょっと多ければいいなあとも思います。」

 李さんは1953年から31年間、木材工場の職人として働き、1984年に定年退職しました。年金は少しずつ上がり、今では当初よりずいぶん上がりましたが、現職の人々に比べ、伸び幅がそれほど大きくなく、家族の中でも低い方だそうです。李さんは「年寄りにお金はそれほど必要ない」と言いながらも、もう少し年金を増やしてくれればという気持ちもあります。自分が生活するには十分ですが、何か特別なことをしたい場合はお金に困ることもあります。

 中国の社会保障制度の始まりは1951年に遡ります。1949年に新中国が成立し、その二年後、当時の政務院は「労働保険条例」を公布しました。これは中国で初めての社会保障に関連する法律です。この条例を皮切りに養老、医療、労働災害など総合労働保険制度が相次いで設けられました。

 これらの制度は1960年代と1970年代に一時的に停止され、その後、順次復活しましたが、その内容は、定年退職者と医療に関わるもの、しかも、ほとんどは国有企業や集団所有制企業の従業員を対象としたものでした。そして李さんも国営の木材工場の従業員だったのです。

 ところが1990年代以降、中国の経済発展にともなって、企業制度の近代化が進み、個人経営者も次第に増えてきました。

 それまで多くの社会的な機能を企業が担っていましたが、市場経済に合わない古い体制が改められ、養老、医療の保障の社会化が進められました。1997年に公布された規定により、社会保障を社会、企業、個人がお金を出し合ってまかなうシステムに改められたのです。しかし、李さんの世代の人々は、その時点ですでに定年退職してしまっています。本来ならば働いている間に支払わなければならない社会保障費を払えません。

 この状況について、中国人民大学社会保障研究所の李紹光教授は次のように語りました。

 「1997年以前に定年退職した方々は、企業負担の部分は問題ありませんが、個人負担の部分はゼロです。それに加え、当時は退職が早かったため、退職金が少ないのです。」

 幸い、いまのところ、李さんは身体が健康で、医療費はそれほどかからず、大きな支出はないそうです。しかしこの点は一つの課題として残っています。

 続いて、李さんの息子さん、つまり李家の二代目、李軍朋さんについて見てみましょう。李軍朋さんは62歳。二年前、国有企業を定年退職しました。李軍朋さんの年金は月に2000元ほどです。

 「去年末に年金の調整を受けたばかりです。今は月に2000元ぐらい。父の世代に比べていい方です。」

 息子の李軍朋さんはお父さんよりも、自分の年金に対して、満足しているようです。

 1997年に国務院が公布した「従業員の統一した基本養老保険制度の確立に関する決定」では、国有企業の従業員を?すでに退職した人々 ?現職の人 ?これから就職する人の三種類に分け、それぞれ異なった規定を適用するとしました。李軍朋さんは当時、現役でしたから、退職金をお父さんより多く貰うことができました。

 それについて、中国人民大学社会保障研究所の李紹光教授は次のように説明しています。

 「賃金の平均レベルの上昇にともない、この世代の人々がその父親の世代より退職金が高いのは自然なことです。」

 李家キさんの孫、つまり李家の3代目李小朋さんはどうでしょうか。李小朋さんは他の若者たちと同様、養老や医療に全く無関心です。28歳の李さんは大学を卒業後、いまはある外資系企業に勤めています。労働契約が結んだ日から、企業が養老保険、医療保険、失業保険、いわゆる三保険をかけてくれました。多くの若者同様、李さんは、就職した当初から保険が整っていて、将来の心配はそれほどありません。おじいさんも李小朋のことを羨ましく思っているそうです。

 さて、おじいさん、お父さんの世代の関心事は「安定した暮らしをいかに確保するか」ですが、孫さんの世代はローンで車を買うなどして、いわゆる「将来のお金」を使っていて、"暮らしの安定"について、それほど心配していません。孫さんの李さんは自分の考えを明かしてくれました。

 「現在では、外資系企業も個人経営企業も合法的な企業であればすべて、従業員のために三保険をかけています。でも将来は保険だけに頼ろうとは思っていません。若いうちにしっかりお金をためておけば、将来は大丈夫です。」

 またこの世代が定年退職するころには、養老保険制度が完備されおり、老後の心配はそれほど大きくないとも言われています。

 中国も日本と同じく高齢化が進んでいます。そしてやはり日本と同じように、「社会保障」に関して、大きな課題に直面しています。中国では社会保障に関して、法律が整備され、社会保障のカバー範囲の拡大も進められています。今は都市に限られている適用範囲を条件の整った農村部まで広げるよう求められています。

 しかし、中国の国土は広く、社会保障の整備にはまだまだ多くの難問があります。まず制度そのものがまだ完成されたものでないこと。そして投資は増加しているものの、全体的にはまだ不足しているということ。そしてカバー範囲が足りないこと。また地域間の格差が大きいということです。

 こうした問題を政府はすでに認識しており、社会保障制度の強化は政府の政策の重点課題の一つとなっています。

人生十色
v 中国都市部女性とブランド品 2006-04-03 15:05:53
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