「王さま。長いことお世話になりました。私は今日限り遠くへ参ります。」
その僧侶はこう言うと王が止めるにもかかわらず、荷物をまとめてどこかへ行ってしまった。
こちら困った国王、暗い顔して考えていたところへ、親思いの三人の王女が機嫌伺いに来たので、国王は普段から信じきっている娘たちに思い切ってことを打ち明けると、三人の王女はそれでは自分たちが入れ替わりして石の獅子の様子を見に行くと言い出した。国王、いくらかためらったが仕方なくそうすることにした。
こうして翌日から三人の王女は、なんと庶民に変装して入れ替わりに市場に行き、買い物するふりをして石の獅子の周りをうろうろしていたが、やはり数人の商人に見抜かれてしまった。そこでこの商人たちは不審に思った。
「おかしいぞ。お城には多くの使いがいるのに、どうして三人の王女が毎日入れ替わりしてここにくるんだ?」
「そうよ。これはきっと何かあるに違いない」
「まったくだ。そうだ。うまくことのわけを聞き出さなくては」
ということになり、そのうちの一人が、今日は一番若い王女は来たので、こっそり王女に近寄った。
「これは、これは王女さま。」
これには王女はびっくり。
「なにを言うのです。私は王女などではありません」
「お隠しなされますな。あなた方三人の王女さまが入れ替わりして毎日ここに来られているのはわかっておりまっする。一体なにがあったのでございまするか?」
これには王女も若いせいか、答えに困ったが、そばに誰もいないのを確かめると、なんとことのわけを話してしまった。
こうしてその一番年下である王女が市場を去ってから、これら商人たちは相談した。
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