「なんということだ!そうだったのか?」
「しかし、その僧侶の言う石の獅子が血の涙を流すというのもおかしな話だ」
「そうよ。馬鹿げた話だ。そこでどうじゃ?わしらはこれを機に一儲けしようではないか!?」
「うん。一儲けしよう」
ということになり、その日の夜中に、これら商人は牛や羊の血をこっそりと石の獅子の目に沢山塗った。
次の日、市場に来た一番上の王女は、石の獅子が真っ赤な涙を流しているのを見て、あわててお城に戻り、国王にこのことを伝えた。
これを聞いた国王は、これは大変と大臣たちを呼び相談し、この恐ろしい兆しを庶民に伝えたあと、もっとも安い値段でお城を売り、王族、大臣や王に付いていくという庶民たちを連れ、山に逃げていった。
こうして町には、この数人の商人と大水が来ることを信じないわずかの庶民だけが残った。そしてこれら商人たちはとても安い値段でお城を買い上げ、また町の多くの財産をも手に入れたので大喜び。
「わっはっはっは!これは大もうけだ!」と宴を設けて大いに楽しみ、それが三日三晩続いた。
そして四日目のこと。かの石の獅子は本当に血の涙を流し始めた。しかし、元から商人たちがその目に牛や羊の血を塗っていたので、本当に血の涙を流し始めてもわからなかった。
こうしてその日から七日目に、嵐がやってきて大水が襲い、お城を始めこの町を沈めてしまい、かの数人の商人などとその財産は荒れ狂う怒涛と泥にどこかに流されていったとさ!!
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