「ガザガザ!兄貴、久しぶりだね。どこ行ってたんだい?」
「カーカー!いやね。お城の屋根で数日間暮したんだが、国王が耳が痛いというんだ」
「なんだ?耳が痛い?」
「そうさ。そこで多くのラマさん呼んでお経を読み、毎日宴を設けラマさんをもてなしたんだ」
「へえ!それは豪華だけど。国王の耳は治ったのかい?」
「いや、じぇんじぇん!ラマさんたちがいくらお経を読んでも、耳が痛いのは治らないんだよ」
「兄貴、それはどうなってんだい?」
「国王は病なんかじゃないんだよ」
「じゃあ、どうしたんだい?」
「実は、国王の耳にはクモが入り込んだのさ?」
「ええ?耳の中にクモが?!」
「そうさ!だから国王の耳の横にたっぷりと水が入った大きな水甕を置き、水甕を軽く叩けば、クモは春の雷が鳴ったとおもい、耳の中からでてきて、水を見ると川辺に来たと勘違いし、網を張るのさ。そこで網とともにクモを取り出せば、国王の耳の痛みはなくなるというわけ」
「なんだ!そういうことか」
この会話を聞いた少年は不思議に思って木の枝の上を見ると、一羽のカササギと一羽のカラスがいしゃべりしていたのだ。
「あれ?おいらにはどうして鳥の言葉がわかるんだろう?さてはさっき食べた甘い木の実のせいかな?それに鳥たちの言ってることがほんとかどうかお城にいって確かめてみよう」
こうして少年は家に帰ると母に言った。
「かあさん!明日おいらお城に行くよ」
「どうしたんだい?お前が芝を刈らないと暮せなくなるよ」
「かあさん。おこらないで!城から帰ったらわかるよ」
こうして少年は、翌日早起きし、トウモロコシで作った主食を二つ懐にしまい出かけた。途中で向うからある人が馬にのり、子馬がその後を追っているのを見つけた。すると子馬の話す声が少年に聞こえた。
「かあさん、かあさん!そんなに速く行かずに待っててよ」
これに前を走る母馬が答えた。
「違うんだよ。背中の鞍に釘が出ていて、それが背中に突き刺さり、あまりにも痛いので速く戻って鞍をおろしてもらうんだよ」
これを耳にした少年はさっそく馬上の人に鞍のことを告げると、その人は馬を下りて鞍を調べだし、ほんとに釘が出ており、馬の背中から血が少し流れているのを見つけた。これには少年大、自分は鳥だけでなく、馬の言葉も聞いてわかるのだった。
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