実は、仙人たちは、多くの獲物を捕ってきたのか、そこで祝いの集いを開いているところであった。これを見た狩人は、これまでの自分のことを思い出してみたが、いつ山に狩に入り、いつ洞窟に入ったのかはどうしても思い出せない。自分では洞窟に入って間もないと思っていたのだが、とても長い月日が過ぎたようにも思われる。
「これは、一体どうしたことだ?どうなっているんだ?」
狩人は首をかしげていると、ある神が近寄ってきいた。
「狩人や。私は火の神じゃ。お前は洞窟のかなでこれまで日の扱い方を学んだはずじゃ、後にお前に用事があるから、覚えておきなさい」
これを聞いた狩人、洞窟の中での暮らしが急に頭に浮かび、驚きの余り声が出ず、やっとのことで首を縦に振った。そして西南北の方向がわからないまま、山を下りるため歩き出し、歩きながら木々や山道、それに空飛ぶ鳥などを眺め、どうも自分の思い出の世界と少し違うような気がしてならない。
やがて狩人は、丘の上に毛氈(もうせん)で出来た家が二軒あり、一軒は造りが良く、その庭にはその裕福さあらわすように馬車が止めてあったので、狩人は自分がみずぼらしい格好をしていることから、もう一軒の貧しそうな家に入った。その家の前にはぼろぼろになった鞍が転がっているだけであった。
狩人は。その家に入り、主だという人に聞いた。
「お宅は、ソレンの人ですか?」
これに主は「そうですけど」と答え、これしか客に出すものがないという羊のミルク茶を出して狩人をもてなした。
実は、この家の主は牧畜民で、これまで満足に暮らしたことはないという。この話を聞きながら、狩人はミルク茶を飲もうとしたとき、その家の天井からある声でその家の主に話しかけてきた。
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