このほど開かれた2004年中国国家科学技術奨励会議で、年齢が30歳半ばの1人の若者が特に注目を集めました。この若者は中星マイクロ電子公司の取締役のとう中翰さんです。ここ5年来、とう中翰さんの率いる帰国留学者からなる集団は一連のデジタルマルチメディアマイクロチップを開発し、この分野における支配地位を確立しました。とう中翰さんたちの開発したマイクロチップは2004年中国国家科学技術進歩賞を受けました。
今年36歳で、童顔をしている鄧中翰さんは、談話や立ち居振る舞いはしとやかで、学者の気質を帯びています。
とう中翰さんは「5、6年前、多くの多国籍企業はその開発拠点と市場を中国に移転させてきました。そのとき、私も帰国して創業することを考えました。」として、次のように話してくれました。
「1999年、うちの会社が中関村科学技術バークーで設立したとき、北京市主要管理部門の指導者の大きな支持を受けました。わずか一週間のうちに、登録や評価などの手続きを全部完成させました。これは中関村が帰国留学者の創業に開いた優遇策によって、便宜が提供されたからです。これは中関村で創業する中小企業の手続きを簡素化しています。」と話してくれました。
アメリカ留学の体験を持つとうさんは、IT産業の核心となる技術を掌握した民族企業でなければ、今後、経済発展の最前線に立つことができず、国際競争の中で不敗の地にたつこともできないとつくづく感じました。アメリカのバークレィ大学へ留学した期間中、鄧さんは理科や工科、商科という3つの学科を専攻しました。これによって、彼の視野が大きく広げられました。これについて、鄧さんは「コンピューター、通信と電子技術上の融合につれて、デジタルマルチメディアチップ技術は新興の3C・つまり、コンピューター、コミュニケーション、家電産業の核心技術であり、世界市場での勝負がまだ決まっておらず、競争が激しいものです。このため、デジタルマルチメディアチップは中国のチップ産業が国際市場へ進出し、急速に発展する最もよい突破口と言えます。中星マイクロ電子公司は設立の当初から、今後の発展方向をーデジタルマルチメディアチップの開発と決めたのです。その開発を世界と共に歩むため、アメリカのシリコンバレーや香港、深圳、上海、台湾で支社を開設し、中国の最高学府?清華大学と共同で「清華中星マイクロ実験室」を設立しました。これで、人材チームが強化されたため、実験室が設置されて約1年のうちに最初の「星光」というチップの開発に成功しました。
これについて、とう中翰さんは「2001年の3月にわれわれは知的所有権を持つ「星光」というチップを開発しました。われわれは数ヶ月間にこの開発に成功したばかりではなく、この製品の生産もでき、その産業化を実現させました。」と話しました。
競争の激しいハイテク技術分野で、知的所有権だけを持ち、製品の産業化と市場を占領できる製品を持たなければ、1、2年間に淘汰されてしまうでしょう。デジタルマルチメディアチップは主にコンピューターの内蔵撮影機、携帯電話、テレビなどに使われています。いかにしての製品を国際市場に進出、占有させるかが課題の一つとなっていました。市場に対する分析をした上、鄧中翰さんたちは市場の占有率が第2位を占める購買層に製品開発を定着させ、この購買層の人数が増えるに連れて、その製品が市場での認可を受けられ、知名度がだんだん高められていく戦略を決めました。
とう中翰さんとアメリカ留学から一緒に帰国し、創業し、マイクロチップの開発に大きな役割を果たした張暉博士は現在、中星マイクロ電子の副社長です。会社の製品を国際市場に進出させることについて、張暉副社長は「当時、国際市場は中国がチップ開発ができないだろうと見ていたため、市場進出の過程で、われわれは中国製のチップを消費者に紹介し、絶えずわれわれの技術と競争力を発揮し、われわれの製品価格の優位性を明らかにしました。こうして、中国製のチップを国際市場で認められました。」と述べました。
最初のチップを開発した後、中星公司は続けて5つの製品を開発しました。去年、開発した「星光5号」はこれまでの製品のすべての機能を一体化し、新しいPCマルチメディアの入力基準を支援することが出来ました。この製品は国際市場に進出し、サムスンやフィリップ、エプソ、富士通、レノボなどの国際大手企業に大量に採用されています。
ここ5年来、中星公司はマイクロチップ製造の7大核心技術を突破し、400件余りの特許を申請し、国際市場で3800万枚のチップを販売しました。国際著名機関の統計によりますと、同類い製品の国際市場で、中星製のチップは70%以上を占めています。
会社の今後の発展について、とう中翰さんは、「自分の責任は相当重いものの、自信に満ちている」と語り、更に「私は、学んだ知識をチップの開発で運用し、その発展のために寄与し、デジタルマルチメディアの分野でより多くの製品を開発し、この事業のために引き続き奮闘していくつもりだ」と述べました。
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