こちら統領屋敷では、統領やお偉方が料理専門部落から運ばれてきた料理を食べ始めたが、この連中はうまいもんをこれまで食べ過ぎているので、人々が腕を振るってこしらえた料理を口にしても、あまり感動しない。こうして時が過ぎ、そろそろお開きになるというころ。かの統領が隅っこのほうにおいてあり、まだ誰もふたを開けていないあの爺さんが送ってきた壷を見つけて不審に思い。「おい。あの壷を開けてみろ。」という。
そこで下のものが、早速壷を持ってきて蓋を開けると、面白いどろどろのスープが入っており、これは何じゃ?と統領が先に箸をスープにつけて味見した。
「うほ?これは珍しい味じゃな。これだけじゃなんだから」と統領は近くの皿に並べてあった生の胡瓜を取ってスープにつけて食べてみた。
「うん?これはうまい。よし。」と今度は、もち米ご飯にそのスープをかけて口に運んだ。
「うんうん!うまいぞ、うまい!みんなもわしのように試してみろ。久しぶりにこんな珍しくうまいもんを口にした」
これを聞いたお偉方たち、早速統領にまなんでそうしてみたが、確かにうまい。そこでと統領が大番頭に聞く
「これこれ!これはなんと言う料理かな?」
「ハ!私めもこれはなじめてでござりまするので、わかりません」
「なんじゃ。はやく調べてまいれ」
ということになり、この野菜のどろどろスープを作ったのはかの爺さんと婆さんがわかり、さっそく爺さん呼んできいた。ところが名前などないというのでつくり方をきいたところ、青菜のスープに塩やからしなどを混ぜ込んで味付けしたという。これには統領はうれしくなり、混ぜ込んだ野菜スープという意味の「ナンミパ」という名をつけた。
このときからダイ族の人々はこの「ナンミパ」を作っては食べるようになったという。
え?かの貧しい爺さんと婆さん?もちろん統領から褒美としてたくさんお金もらったと!よかった!よかった!
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