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「僕、不義の王を守ってしまった」

2009-03-24 11:44:23     cri    

 『断密澗(かん)』というのは有名な「裘派」の代表的な演目であり、「裘派」の創始者である裘盛戎にとっては、その生涯でもっとも有名な演目に入ります。

 中国の隋代末期は群雄が割拠した時期で、特に「瓦崗寨」という所には多くの志士が集まっていました。そして、ここの頭である没落貴族李密は人々に憎まれ、ここを離れ唐の朝廷に走りました。しかし、1人の王伯党という赤誠な男がいて、李密に唐の朝廷に帰順することを勧め、2人は都に向かいました。唐の皇帝は喜んで2人を受け入れた上に、自分の娘を李密の嫁にしたのです。しかし、貪欲のかたまりのような李密はやはり皇帝になりたくて、酒を飲んで妻である姫にこういうことを話してしまいました。姫は大変驚いて、不義の李密を責め、唐の皇帝に教えると言ったため、李密に殺されました。恐れている李密は妻である姫を殺した上、自分の犯した罪がすぐにばれないよう、すべての女官を殺し王伯党を連れて逃げました。忠誠な王伯党は李密を責めましたが、義理を重んじる王伯党はどうしても李密を捨てることが出来ず、ついには追ってきた唐の兵士たちに殺されてしまいます。あくまで義にかたい王伯党は死ぬ間際に、「この僕はなんと、こんな不義の王を守っていたんだろう」と絶望して嘆きました。

  

 今回の『断密澗』は国家京劇院二団の有名な裘派俳優の魏積軍と優れた老生俳優の馬翔飛が主演し、「裘派」創始者の裘盛戎の弟子である李長春の直伝演目です。魏積軍の義妹の私はとても幸いで、『断密澗』の稽古をしている彼たちの専用室に入ることを許されています。午後1時半、私は約束の時間の少し前に到着しましたが、皆はもう集まって、準備をしています。皆に邪魔をしないように、私はこっそりと部屋の隅に座りました。

 

 主役の魏積軍と馬翔飛は発声練習に没頭しているため、私のことに全然気づきませんでした。この2人は真面目で発音やあらすじについて話し合ったり、楽隊と疎通したりして、私さえも思わず真剣な顔をしてしまいました。いったん終わって、すぐ足りないところを皆の意見を聞き、そしてもう一度繰り返して練習します。外部の人から見ると退屈なことかもしれませんが、京劇の俳優たちがこの退屈のように思う練習をすることこそ、芸を磨いて名家になるわけだと私は思います。

 ずっと黙ったまま隅に座っていた私は、彼たちの稽古を見て、なんだか感動を覚え、28日の夜、梅蘭芳大劇院で公演される『断密澗』はきっと精彩を放つと楽しみをしています。(楊)

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