それは7時間にわたる大手術でした。心配して手術室の外で親友たちが待っていたところ、やっと手術が終わりました。手術室から出てきたばかりの李陽鳴はまだぼんやりしているのに、心配する親友たちに冗談を言い始めたのです。
他人のじんたいを何本も移植されたので、二年ほど経ったら完全に回復できると医者は言いました。足は回復するが、癌はどうですかと医者に聞くと、今後三ヶ月毎に再診していくと言われました。
楽観的な李陽鳴は手術後の数ヶ月の休養を勉強のきっかけとして、家で発声練習をしたり、先生に教えてもらったり、1分さえ無駄にしないように頑張っていました。「僕は普段忙しくて、歌を主とした演目を先生に教えてもらう暇がなかったので、今しっかりと勉強できてよかった」と言いました。
そして、たった三ヶ月の休養を経って李陽鳴は自分の特別興行を行いました。もちろん体の具合も考えて、演目はそんなに激しくない『文昭関』、『華容道』を選び、公演用の靴は百針以上縫った傷口を守るため、特別に作られたものでした。
なぜ命がけで京劇をやっているのですかと聞かれ、彼は「京劇は僕にとって、命より大切なものだ。絶対にもう一度舞台に上がろうと決心していなければこんなに早く回復することはできない」と答えました。京劇がどれほどこの若い役者に勇気を与えたのか、他の人にはわかりっこないでしょう。
「勇敢な人ですね」と、よく人々に褒められる李陽鳴は、「実は勇敢ではないよ」と言いました。
李陽鳴はふだん体を気づかい、難度があまり高くない振りつけをしているので、必死に高いところから飛び降りたりする役者と比べれば、勇敢とはいえないと思っているのです。
これから、さらに歌にも磨きをかけて、足が完全に回復したら、もう一度頑張って「武生」として舞台に戻るつもりです。(楊)
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