ところで、「鳥の巣」に行く道中、シャペルを手に、残雪を固めて作った雪の「堤(つつみ)」にせっせと文字を彫りこむ男性がいました。すでに出来上がった文字に「2010年 寅年」のほか、彫刻中の「北京環衛・オリンピック公園清掃係の全員が来場者の皆さんを歓迎する」のスローガンも見られました。
男性は2ヶ月前、故郷・黒龍江省五大蓮池から上京し、現在はオリンピック公園の清掃係をしている出稼ぎ労働者・李輝さん。
「残っている雪を使って何かできないかなと思って、遊び心から文字を作ってみた。最初は慣れていなかったので時間はかかったよ。」
声をかけると、李さんは作業する手を止めにっこりと笑いました。
雪の「堤(つつみ)」は一人で雪をかき集めて作ったため、完成するまで3日もかかったと言います。しかし、その前で立ち止まって雪文字を眺める観光客が多いので、「上司にも認められたので、手の空いている同僚に一緒に作業するよう指示し、今はスピードが速くなったよ」と笑顔で話してくれました。
李さんとたわいもない話をしていると、堤の片方の端にいたもう一人の男性が微笑みながら振り向いてくれました。手には先のとがった木の棒を持っており、同じく雪に向かって何かを描き続けていたようです。近づいて見てみたら、中国的な刺繍や手工芸によく出てくる虎の模様でした。
「王です。私も李輝と同じ故郷の出です。北京はこの前、大雪が降りましたが、五大蓮池ではそれよりも大きな雪が降るのですよ」。
スキーが大衆的なウィンタースポーツとして、中国で楽しまれるようになったのはここ10年ほどのことに過ぎません。数多くの人にとってゲレンデを見たり、スキーを体験したりするのは初めてのことと言えます。一目スキーを見てみたくて来場したり、フェンス越しに覗きに来た市民や親子も多かったですが、フェンスの外でも雪を生かして、クリエイティブに仕事に向かっている人たちがいると考えると微笑ましくなりました。
(王小燕)
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