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日本酒蔵元代表・桝田隆一郎さん

2011-09-30 15:28:51     cri    

    よりおいしい酒造り 中国からの刺激に期待

 「自らが攻めの姿勢で新市場に殴りこんだのは、今回が初めてです」 
 そう話してくれたのは、100年以上の歴史を誇る日本の造り酒屋「桝田酒造店」(本社富山市)のご主人・桝田隆一郎さんです。年頭に初訪中に続いて、先日、中国専用新商品を引っさげて、北京を訪れました。これからは中国の富裕層をターゲットに、「高級ワイン相当」の値段で市場を開拓していくといいます。中国に目を向けるようになったきっかけや、おいしい酒造りのこつ、世界における日本酒の位置づけなどをめぐり、お聞きしました。




















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ビジネスは相互の尊敬から

――中国に関心を持つようになったきっかけは?

 アルコール業界では、中国が一番メインのマーケットになりつつあります。しかし、いままで、中国本土には日本酒はまだ本格的に入っていないように思います。我々がすでに進出した香港や台湾の方たちからも、「行くなら北京だ」と言われてやってきました。

――日本酒は「本格的に進出していない」とおっしゃったのですが…

確かに、色々売られているように見えますが、我々から見れば、もう少し本当においしくクォリティーの良いものが入っても良いのかなと思っています。それが今は全然見えずに、ブランドが有名なものか、資金があって売り込んでいるものが売れているという感じです。

――――今後、どのようにして中国本土市場に売り込もうと思っていますか。

 我々が台湾や香港でやってきたことと同じように、まずは、皆さんに日本に遊びに来ていただいて、我々の蔵を見てもらったりして、ファンになってもらうことです。それができてこそ、一生懸命売り込みすることになるかと思います。

 逆に、私も中国が好きになって、北京に来ることがすごい楽しみになるということが、キーだと思います。お互いにファンになって尊敬しあう。そういう仲にならないと、うまくいかないのではと思います。

――中国専用のお酒を開発したとおっしゃいました。

 はい。国によって嗜好も異なっていますので、我々が中国の方々が好きそうな味やパッケージをリサーチして、新商品を開発しました。少し甘口であるのと、中国古来の文化的シンボルである桃のしずくをイメージさせるデザインとなっています。原料に使った「緑米」は、いまはもう植え付けされていない古代米です。その種を筑波の農業研究所から手に入れて、稲を栽培してお米を増やすことから始めました。製法も古来の、できたお酒を使って、それに米を足してもう一度発酵させる方法をとっています。そういう古来からの作り方で、現代人の生活にも十分新しい味として楽しんでもらえると思います。

■ 世界に届けたい よりおいしい日本の酒を

――これまでに、桝田酒造店で作られたお酒は、日本国内のみならず、イギリスやフランス、デンマークなど欧米諸国の重要イベントにも採用されたようです。

 「桝田酒造店」はもともとローカルな造り酒屋でしたが、私の父の時に日本中に販路が広がり、私の時に世界に広がったので、それはほんとにうれしいです。
 私達のお酒を飲んだ西洋の方達から、「こんなに日本酒が深いものとは知らなかった」とか、「ボトルデザインを含めて美しい」とか、いろいろ賞賛の声はたくさんありました。やっぱり一番うれしいのは、「どこでいくらで買えるの?」という声がダイレクトに聞こえたことでした。ほんとにほしいという声があったことです。

――現在、海外での販路は?

 今、海外での売り上げは全体の15%ぐらいです。メジャーな国には行っていますよ。数量ベースでいくとすごく出ているのは、シンガポール、オーストラリア、台湾なんです。中国系や華僑の人たちが多い国と地区ですね。もちろんアメリカ、韓国、フランス、イギリス、ドイツ、デンマーク、オランダなどもあります。

――日本酒が海外に出ていくことの意義をどう考えていますか。

 一番最初に思ったのは、外に出ていくと、我々を見つめなおすことができることです。日本酒の良いところ、悪いところが色々見えて、それで我々自身を改革しようというのが最初の狙いでした。売るというよりも、良い日本酒にしたいというのが目的でした。

――海外から様々な栄養を汲み取ろうとしたのですね。

 最初はそのつもりで行っていたのです。そのうちに、お土産で日本酒を持っていくと非常に評価が高く、いろんな世界のトップソムリエとかが絶賛してくれるんですね。それだったら、ちゃんと売りにいこうよ、と。売れて最後はやっぱり評価は本物なわけ。そう思って、今売りに行ってます。

――ところで、桝田さんは、日本酒の世界のお酒における位置づけをどう捉えていますか。

 ワインを飲んでいる人をどれだけ振り向かせるかということだと思います。日本酒を、世界の人たちに飲んでいただける日本の味として提供したいのです。お酒は、食事をしながら我々を楽しくさせてくれる飲み物というカテゴリーでよいのかなと思っています。ワインでも、ビールでも、白酒でも、紹興酒でも何でも、良し悪しは別として、いろんな選択肢の中の一つに過ぎません。ぼくはそう捉えています。

■求めてこそ生まれる 良いお酒

――中国のお酒も色々飲まれましたか。

 紹興酒、桂花陳酒、白酒など、色々飲んでみました。
 中国はいま、食事をしながら、お酒はどれがおいしいという議論がまだ少ないかと思われます。これからいろんな世界中のものが入ってきて飲むようになると、中国の紹興酒の中でもずばぬけて良いものが出てきたり、様々なおいしいお酒がどんどん生まれてくると思います。うちのお酒がどうかというより、中国のお酒自身がこれからどんどん変わっていくだろうなと思いますね。

――その点、日本酒はどのような変化の歩みをたどってきましたか。

 日本は戦争が終わった後から、日本酒のクォリティが下がりに下がって、いま、ようやく上がってきたところです。
 その背景として、まず、ものがなかった。ものがなかったから、良いものが作れなかった。それと良いものを求める人がいなかった。それに、自分たちの価値判断ができなくなっていた、というところではないでしょうか。
 いまだに日本人は、自分で価値を判断できず、ブランドに頼ったり人のコメントを聞いて買うというのが多いですが、自分で見極める能力を持った日本人も少しずつ増えています。そのため、お酒もどんどん変わってきています。

――良いお酒の誕生には、そういった社会の豊かさ、人々の心のゆとり、文化がどのぐらい育つか、そういったものがすべて影響しているとおっしゃったのですね。

 そうですね。戦後の日本は、すべて安ければ良いという風潮になっています。文化というか、ものの美しさを求める人がどんどん少なくなってきて、悲しい限りなんですが。そういう状況がいまも続いています。ほとんどの日本人はビールを飲んで、焼酎の水割りを飲んで、それでもう満足してしまい、その次を求めない。ほんとに良いものを求める層がほんとに少ない。ある程度はいますが、その後継者が育っていないですね。

――そうなった原因をどう見ていますか。

 リーダーを作らない戦後の教育です。みなイーブンでいこうという教育を延々とやっていくと、リーダーが育たないし、良いものを求めようとか、良い生活をしようという発想にならないですよね。「頑張って戦って勝ち残れ」ということを教育上していない。それが(世の中を)つまらなくした理由だと思います。

 それと、自信をなくしすぎているような気もします。失われた20年だとか言われていますが、それでも日本は世界3位の経済大国で、良さもたくさんあることに気づいていないようです。

――最後に、新市場の中国への期待を聞かせてください。

 私にどんどん刺激を与え続けてくれることですね。それは、信じられない売り上げでも良いし、飲み方でも、一緒に食べるマッチングでも良い。すべてにおいて刺激を与えて欲しいというのが一番の期待です。
                        (聞き手・構成:王小燕、写真・整理:劉叡)

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