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在中国日本国大使館経済部参事官・柴田聡さん(下)

2011-03-28 13:28:38     cri    
























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 中国企業の日本市場への参入を歓迎すべき

 ——ここ数年、日本に出て、企業の吸収・合併をしている中国の企業が増えています。

 日本は90年代のいわゆる「ビッグバン」と言われる金融面での開放を徹底的に進めた結果、世界に対して開かれたマーケットになっています。そこに、新興国のしかも主要なプレーヤーである中国が入ってくるというのは、歓迎すべきことです。日本がグローバルマーケットとして、今後も成長していくためには、チャイナマネーがその重要な一端を担っていただくことが重要だと思います。

 今、日本の株価は低迷が続いていると言われていますが、潜在的にはやはり強い競争力を持っている企業が多いわけです。そう言った日本企業の将来性に、中国の方が気づかれて、投資対象にするということになれば、それは日本の経済の成長にとっても、非常に重要な資金供給になると思います。

 ——先日、本部が深センにある中国の通信機器メーカー「華為」の100%出資子会社「華為・ジャパン」が初の中国系企業として、日本の経団連の会員企業になったという報道がありました。

 正直、「まだ第一号だったんだ」というのが、このニュースを聞いて率直に思った感想です。「華為」のように、高い技術力とブランド力を持った中国のグローバル企業が益々増えてくると思いますし、今後、さらにたくさんの中国企業が日本市場に参入してきて、中には大きな成功を収める企業も出てくると思います。こういった動きはこれから、どんどん強まっていくと思っています。

 アジアの将来を見据えて 誤解のない相手の理解を 

 ——『チャイナ・インパクト』の中で、「中国で誤解が多い『日本の経験』」という一節がありました。プラザ合意で円を切り上げたこととその後、日本を長く襲ったデフレとの関係について、中国では往々にして短絡的に理解されていると指摘されました。

 日本の歴史的経験というのを中国の方が熱心に学ばれているので、ほんとに皆さん詳しいですけれども、時々必ずしも正しくないのかな、と思う時があります。

 たとえば、プラザ合意以降の円高について、日本の中にも色んな議論があるのですが、実際、円高が起きた後に、景気を浮揚させるために、大量のマネーを供給して大規模な金融緩和をしました。それによって、不動産価格が実態の価値以上に上がってしまって、そこがはじけたというような部分を一切捨象されて、「米国の円高要求を飲んだから、日本経済はだめになった」というところに一気に飛んでいくので、ちょっと論理の飛躍が大き過ぎるのではないかなと思っています。

 さきほど申し上げたように、中国には安定的に経済成長していっていただきたい。そのためにも、的確な経済政策をぜひお願いしたいし、そういう意味でも、日本の経験というものを正しく理解していただいて、あまり単純化して考えるのはよくない場合もあるということだと思います。

 ——中国の経済成長にとって、日本は鏡だと良く言われており、色々な面で日本の歩んだ道を研究し、参考にしている動きが中国にあります。

 日本自体、大体中国から40年ぐらいの先行経験をしていると言っている人もいますが、かなり参考になる部分があるでしょうし、日本の経験というのを中国自らの政策の中にも反映していただいて、安定した発展を続けていっていただきたい。それは、ひいては日本のためにもなると考えています。

 ——逆に、日本人の中国を見る目に、よく見る中国に対する誤解は?

 正直申し上げると、中国の仕組みは日本人がなかなか想像もつかないような仕組みであるが故に、理解を超えてしまうのですね。それで、「共産党が強いからだ」とか、非常に単純な理解をするケースが多いようです。実際、私自身が近くで見ていても、中国は相当海外の事例も調べて、緻密な政策議論をしていると思いました。中国がどういう発想で、こういう政策を打つのか、ということを的確に理解し、中国の考え方というのをきちんと分析しないと、日本としても中国との適確な環境をつくることが難しいだろうなと思っています。

 ——どうすれば、こういった誤解を防ぐことができるとお考えですか。

 正直申し上げますと、中国における日本の研究は相当進んでいると思います。そういう意味では、むしろ、日本への正しい理解を、専門家の方々からいかに一般の方々に広めていくかというのが、中国にとって重要だと思います。

 他方、日本については、まだまだ中国の仕組み自体がまだよく理解されていない。何で中国がこういう主張をするのか、その背景や理由がよく分からないまま、中国を批判してしまうケースが結構多いですから、まずは日本のほうはもっと中国の仕組みを研究、勉強して、その上で的確に理解をしていくこと、その姿勢が重要ではないかなと思います。

 ——柴田さんはご自身の体験を踏まえて、日本人が中国と付き合う時にアドバイスしたいことは?

 中国は変化し続けている国だということを忘れずに付き合うことかなと思います。

 中国に来て、痰の吐き捨てや列に並ばないなどにこりて、不快な思いをして帰る人もいるようですが、正直、私も来たばかりの時はそういう体験をしたことがあります。ただ、この点について、ゆっくりかもしれませんが、段々国際マナーを踏まえたような行動様式に変わってくるのではないかと期待しています。

 リーマンショックの後、中国は「G20」の主要なプレーヤーになっています。国際ルールを決める時、独善的な主張をしたとしても、世界的に受け入れるものではないし、国際社会との協調は、中国にとって逃れられない大きなテーマになっていると思います。

 身近なことで言いますと、地下鉄に乗り降りする時のマナーは、私が北京に来ている2年半だけでも良くなってきていると感じていますし、まずは都会のほうからそういったものが向上してきたので、その動きが段々地方にも広がっていくと思います。また、20代の若者は、見た目では、中国人なのか日本人なのかは分からない。表面的にも感覚的にもそれほど大きな違いがなく、かなり共通化が進むのではないかと思っています。

 ——最後に、将来に向けた中日の経済関係に対する期待を聞かせてください。

 日本と中国が共同で、アジア経済の中核として、世界経済の中で大きなプレゼンスを持つ時代が、恐らくそう遠くない将来、来るのではないかと思っています。その時に、日本と中国が良い関係で、アジア同士の国として、世界の中で確固とした存在感を持っていることを願っています。

 (本記事は柴田さん個人の見解を紹介したもので、日本大使館や日本政府の公式見解ではありません。)

 (聞き手:王小燕、大野清司、吉野綾子)

 プロフィール

 【柴田聡さん】

 1969年岩手県葛巻町生まれ。

 1992年東京大学経済学部卒、大蔵省(現財務省)入省。

 1996年スタンフォード大学大学院修士号取得。

 金融庁監督局総務課課長補佐、同局銀行第2課課長補佐、財務省主計局主査などを経て、2008年6月から在中国日本国大使館経済部参事官

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