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中国社会科学院外国文学研究所 許金龍さん(上)

2010-09-30 17:01:05     cri    

■「理解を深め、誤解を解く」大江さんの期待にそえた

――今回の会議で取れた最も大きな成果は何だと思いますか。期待した効果に達しましたか。

 私の期待を大きく超えました。大江さんの目的は両国の若者がフェース・ツー・フェースで交流し、理解を深め、誤解を解くことです。彼は何回もこの点が非常に重要だと強調しました。4月に、大江さんは、われわれを駅まで見送ってくれたとき、急に私の手を握りしめ、「若者を通して、必ず両国の間の誤解を解いてください」と言い、私は感無量でした。そして、今、大江さんに「ご期待にそえた」と言えるようになりました。青年作家たちは会議で文学的な交流ができただけではなく、生活的な交流もできました。お互いの文学を理解しあい、厚い友情が生まれました。その友情は純粋で、功利的な不純物が入っていません。今後の交流のしっかりとした基礎を固めました。これは今回の会議の最も大きな成果だと思います。

 ちょっと残念なことですが、日本の作家の中国の文学作品への理解がまだ足りないと痛感しました。それは日本国内で中国の文学作品がまだ普及しておらず、紹介も少ないからだと思います。それに対して、中国の作家は大量の日本の作品を読んでいます。日本で作品が出版されてから、数ヶ月ないし1年で、中国でも翻訳本が出て、中国の作家は早いうちに日本の作品に触れることができます。中日双方の作家が知る互いの作品の情報量は、とてもアンバランスになってしまいました。日本の出版業界がもっと多くの中国の文学作品を紹介してくれればありがたいと思います。特に中国の青年作家の作品ですね。もっと多くの日本人に中国の文学作品を知ってもらいたいです。

――今後の交流活動の予定は?

 次回の交流会議は2年後に日本で開催する予定です。大江さんにも交流会議をやり続けてほしいです。中日青年作家交流会議はすでに定期的なプラットフォームになりました。両国の青年作家は、このプラットファームを通じて、厚い友情を結びましたから、交流会議をやり続けない理由は何1つありません。2012年は中日国交正常化の60周年にあたり、日本政府の支持を得られれば、もっと素晴らしい交流会議ができると期待しています。会議の開催地を有名な観光スポットに移し、美しい景色で話題を作るとかの提案もありますね。困難はまだありますが、中日双方がともに頑張ればきっとできると思います。(聞き手:陳博 写真提供:許金龍さん)

関連報道:「中国青年作家会議2010」北京で開催

【プロフィール】

大江 健三郎(おおえ けんざぶろう)さん

 1935年生まれ。日本の小説家。愛媛県出身。東京大学文学部フランス文学科卒。1958年、「飼育」により当時最年少の23歳で芥川賞を受賞。1994年ノーベル文学賞受賞。主な作品に「個人的な体験」、「万延元年のフットボール」、「同時代ゲーム」、「臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ」など。2006年、大江健三郎賞設立。

大江健三郎さん(左)と許金龍さん(右)

許 金龍(Xu JinLong)さん

 1952年生まれ。江蘇省出身。武漢大学卒。中国社会科学院外国文学研究所の研究員。中国作家協会の会員。主な訳著は「臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ」(大江健三郎著)、「奔馬」(三島由紀夫著)など。日本文学シリーズ本の「大江健三郎自選集」(4巻)、「世界文学文庫日本文学の篇」(6巻)などを編集した。


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