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歩 平中日共同歴史研究中国側首席委員(下)

2009-02-28 23:29:37     cri    

中日共同歴史研究のいま(下)

■「多強」時代のアジア
Q 数年前に、民間が発起した共同歴史研究として、中日韓三カ国の学者は『未来を開く歴史』という歴史書を出版しました。その時も歩平さんが中国側責任者でした…

A 民間では、ずっと数多くの交流を保っています。『未来を開く歴史』は今読み返してみると、まだ浅はかなところがたくさん目につきますが、三カ国の共同研究はその後も継続されています。
 『未来を開く歴史』で深く追求できなかった問題について、年内にも最新の研究成果を盛り込んだ新しい読み物が刊行される計画です。さらに、その次のステップに、『未来を開く歴史』を書き直すことです。

Q こうした民間の取り組みについて、今回の共同歴史研究の席では、どう評価されていますか。

A その方向性について、中日双方はいずれも十分に肯定しました。

 三カ国の共同研究の場合は、考え方が比較的に近い学者たちが歩み寄って行ったものです。それでも意見をまとめるのは、そう簡単なことではありませんでした。

 しかし、私たちはこうした違いを楽しんできました。誰も自分の認識で相手を制限したり、また、それを相手に押し付けたりすることはできません。交流を重ねて、みんなが少しずつ、多元的な環境に慣れるようになる、そういうところに大きな意義があると感じました。

Q 最後に、中国と日本は、真の意味での「和解」が実現できそうだとお考えですか。

A 個人的には楽観視しています。ドイツとポーランドはすでに手本を示したし、何故アジアにそれができないと言えますか。

 これまで、アジアはずっと「一強多弱」の構図が続いていましたが、今は日本という「一強」だけでなく、「多強」に向かっています。中国や韓国、東南アジアなどもどんどん力がついてきました。こうした変化に、日本はなかなかすぐ適応できないのかもしれません。しかし、戦後、ヨーロッパの歴史も物語ったように、実力相当の国同士こそ、歴史問題で平等に対話ができるのです。そういう意味で、「多強」はアジアの和解にもつながっていることだと思います。 
                                   (聞き手:王小燕) 

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■「中日共同歴史研究」について

 小泉純一郎氏が首相在任中、冷え込んだ両国の政治関係及び国民感情を背景に、日本側の提案を受け、両国首脳の共通認識を踏まえ、2006年年末に、双方の有識者10人ずつからなる委員会を発足。
 2008年6月まで、全部で4回にわたり会合を開催。古代・中近世史、近現代史古代史に別れ、計16のテーマをめぐり、双方の両論併記による報告書がまとまる予定。

■中日歴史合同研究委員会の歩み

 2005年5月 町村信孝外相が京都で李肇星外相と会談した際、「共同歴史研究委員会」の開設を提案  
 2006年10月 安倍晋三首相訪中の際、胡錦涛国家主席と「中日歴史共同研究」で合意
 2006年11月 ハノイAPEC閣僚級会議で、李肇星外相と麻生太郎外相は、中日歴史共同研究の実施枠組みについて協議し、日中平和友好条約締結30周年にあたる2008年中に、研究成果を発表することを目指すと合意。

【プロフィール】(敬称略)


歩 平 
1948年北京生まれ
中国社会科学院近代史研究所所長
中日共同歴史研究中国側首席委員 
中日韓の共同教材『未来をひらく歴史』中国側編集委員会責任者
新潟大学、横浜市立大学客員教授

<研究分野>
中日関係史、北東アジアの国際関係史、日本の戦争責任、日本の化学戦及び遺留化学兵器

 主な論述や著書に『第二次世界大戦期間中の日本の化学戦』、『日本の靖国神社』、『日本右翼思想研究』など多数

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■取材メモから

 「ホヘイのヘイは平和のヘイで、兵隊のヘイではありません(笑い)」。
 微笑みながら、多少、中国語なまりのある日本語で自己紹介されました。

 大学での専攻は歴史。第一外国語はロシア語。初めて知り合った日本人の友人とはロシア語で意思の疎通をしていたそうです。日本語は第二外国語として独学していましたが、「ある時、福岡を訪れたら、友人から『通訳はないけど、講演会してくれないか』と会場に通され、仕方がなく、たどたどしい日本語で頑張って説明した。お陰で、その後、少しずつ日本語を聞いたり話したりできるようになった」。

 旧日本軍による化学戦の様子や、中国に遺留された日本軍の化学兵器の危害などについて、綿密な聞き取り調査を行い、数百枚のスライド写真を撮影。日本の大学で行った集中講義で、数多くの若者をもひきつけました。
 「中国の若者も日本の若者も歴史をあまり知らなくなった。落ち着いて、過去のことを説明すれば、互いの気持ちは通じ合えるもの。」

 朗らかで、誠実そうな人柄。中国と日本、そして、アジアが戦争の歴史を乗り越えるため、今日も休む時間を惜しんで動き回っています。(王小燕)

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