中日共同歴史研究のいま(上)
小泉政権時代、「政冷経熱」に陥ったと言われていた中日関係。歴史問題の解決を目指し、現状を打開するために出された中日共同歴史研究の提案は、両国首脳の合意事項になり、2006年末に委員会が発足しました。2年余り経った今、共同研究の現状はどうなっているのか。
2月20日、中国社会科学院近代史研究所所長でもある歩平中国側首席委員に話を聞きました。
■進ちょく情況は順調
Q 中日合同歴史研究の現状をご紹介ください。
A 基本的に当初の日程に沿って、順調に進めているところです。ただ、両国の歴史問題は長い時間にわたってできたもので、双方は歴史認識においても、以前から人為的か、客観的に相違が見られました。そのため、時間がかかるのは予想内のことです。
今、両国の学者による論文はほとんど仕上がり、意見を述べ合って、最後の調整をしているところです。
Q 合同研究の具体的な進め方は?
A 両国の古代史、近現代史の専門家それぞれ10人からなる合同研究委員会は、先ず、全体会議を開き研究テーマ(古代7、近現代9、計16項目)を決めます。双方の委員は同じテーマをめぐり、それぞれ論文を提出し、その後、相手の論文に対し、先ずは書面で意見を出し合い、その後、会議で議論を重ねて最終報告書をまとめます。
Q 報告書は「両論併記」のようですね。
A そうです。「両論併記」は最初からの方針です。政府主導の共同歴史研究は今回が初めてなので、先ずは相手を理解すること。今回は、双方の論点が完全一致した共同報告の執筆を目指しません。
ただし、だからと言って、何でも自由に書きたいことを書けばよいのではありません。16項目のテーマの下に、それぞれ20~30のキーワードが列挙されています。双方は論文において、これらキーワードに反映された問題に対し、基本的な認識を書かなければならないことになっています。だから、「両論併記」は決して問題を回避するためのものではありません。
Q 合同研究の動きについて、最近、あまりメディアでキャッチできませんが…
A 合同歴史研究はメディアだけでなく、一般国民にも高い注目を集めている話題です。
だからこそ、国民の感情的な声に影響されず、学術の視点から、冷静に、客観的に議論できる環境を整えるよう心がけてきました。そのため、まだ途中段階の研究の様子を積極的にメディアに向けて発表はしていません。
Q 最近、「今年7月に成果を発表する」というふうにも報じられていますが…
A 成果発表の日程について、メディアに約束したことはありません。現在、32本の論文がほとんど上がりました。しかし、いざ、感想を述べ合う討論の段階になると、言葉の翻訳は当初、想像していたよりも複雑な過程でした。そのため、日程に若干遅れが見られ、メディアの憶測報道を招いたようです。
事実は、双方はこれまで通りに接触を保ち、意見を交換しあい、研究を正常に進めているところです。(つづく)
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